異世界のんびり放浪譚

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第39話 ラーメンライス

公開日時: 2022年4月5日(火) 20:14
文字数:1,484

 手紙を書き終わったジョシュアが部屋に来た。 黙ったままピンと腕を伸ばし、手紙を腕ごと突き出す。

俺も黙ったまま手紙を受け取り、しまう。

「モコ、ご飯作るからジョシュア君と遊んでてね」

「わ〜い! ごはんごはん!」


 いつもなら部屋の中で料理なんて出来ないんだけど、この部屋は広いし、なにより立派なキッチンがついている。 ありがたく、使わせていただこう。

 っていうか、値段のことはあるな……。


 それにしても、今日はもう面倒だからインスタントラーメンにしよっと。

 今日は趣向を変えて、サッ〇ロ一番『塩』ラーメンだ!

 味噌が一番好きだけど、たまに猛烈に塩ラーメンが食べたくなるんだよなぁ。


 俺は塩ラーメンのときには、鶏もも肉を使う。

 まぁ、地球時代もカネがある時じゃないと作れなかった特別メニューって感じだったんだけど。

 それから俺はネットスーパーで鶏もも肉、ネギ・ニラ・本物のにんにく・糸唐辛子を買った。

 鶏もも肉は一口大に切り、塩コショウ、にんにくチューブを入れて味を馴染ませ、休ませる。


 そしてここで、俺はズルをすることにした。

 俺だけ鶏もも肉を食べて、モコとジョシュアにはオークとオーガを食べてもらうことにしたのだ。

 罪悪感を晴らすために、オークとオーガでいいか二人に聞いたら、それで良いと言ったので良しとする。


 だって言い訳させてもらうと、ホテル代は高いし、モコが食べる量の鶏もも肉なんか買ってたらあっという間に破産だよ。 しょうがないじゃん……。


 よし、今日も作るとしますか! まずは野菜はニラと長ネギ、にんにくを切っておく。

 ちなみにニラはたっぷり目で用意する。

 サラダ油 (俺は塩の時はごま油は使わない) でにんにくを軽く炒め、香りが出てきたら鶏もも肉 (オークver. も同じ) を炒める。

 火が通ったら余分な油を捨て、一旦別皿へ取り出す。

 同じ鍋のまま、もう一度スライスした追い生にんにくを入れ、ニラとネギ、別に休ませていた鶏もも肉も合わせて軽く炒める。

 そして茹でておいた袋ラーメンに炒めたものを乗っけて、糸唐辛子 (辛いから俺だけ) をプラスしたら、出来上がり〜!

 うぅ〜ん、いい匂いだ……。


「たかふみぃ、なんかいちゅもとラーメンちがう匂いしゅるよ〜」

「フフフ。 お分かりいただけただろうか? これはね、塩ラーメンなんだよ」

「しおぉ?」

「そう。 塩!」


「これ、モコ、しゅき……。 だいしゅき……」

 モコは塩ラーメンにうっとりしている。

「……うまっ……」

 ジョシュアも思わず声に出ていることにも気づかず、食べている。

 さぁ、俺も食〜べよっと。

「ンフッ……」

 気持ち悪い声が出てしまうくらい、うまい……。

 久しぶりの鶏もも肉、最高です!! はぁ、違う肉食べてるのがバレないで良かった……。


 俺はその日、猛烈な食欲があったのでラーメンだけでは足りなかった。

 アイテムボックスに保存していたご飯をラーメンの残り汁に投入し、ラーメンライスにする。

「しょれ、ごはん!?」

 モコは目ざとい。

「うん、ご飯入れても美味いんだよ」

 俺がどんぶりを抱えてがっついていると、モコの鋭い視線が突き刺さる。 何か言ってる気もするが、今は勘弁。

 俺は勢いに任せて汁の一滴まで飲み干すと、どんぶりをテーブルにドンと置く。

「ふうぅ〜っ」

 満足だ……。

「モコも! モコも!」

「……。 俺も」

 それはそうだろう。 こんなの見ちゃったら、食べたくもなるよね!

 モコとジョシュアは具と麺を食べ終えたらラーメンライスにする、という無限ループに入った。

 ジョシュアも二回お代わりしたし、モコに至っては言うまでもない。

 それにしても、ラーメンを食べたあとの水の美味いことと言ったら、もう……。

 はぁ〜、今日も満足、満足!

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