俺とジョシュアは、マジで太った。
2人とも、服もズボンもかなりパッツパツになってるし、いつ破けてもおかしくない状態だ。
ジョシュアは顔が肉に埋もれかけてきたし、俺は腹の肉が邪魔くさくて靴下が履きづらい。 人は一週間でここまで太れるんだ、ということに驚きだ。
モコはというと、おそらく変身するのにカロリーを使っているのかどうなのか、いつも通りの変わらぬムチムチボディをそのまま維持している。
俺とジョシュアはヤバい、これはマジでヤバい。
ジョシュアはモコに誘い出されて毎日公園で遊んでくれたりしていたけど、俺は公園に行ってもベンチに座って全く動かなかった。 っていうか、太り過ぎて動くのが辛かったんだよ。
そんな生活をしていれば、そりゃ太るわな。
俺はお金があることにあぐらをかき、全力で暴飲暴食してしまったのだ。
さらに俺はモコが寝たあとも食欲が止まらず、ネットスーパーでお菓子を買って一人で堪能したりもしていた。
いや違うんだ! モコにもジョシュアにも、ちゃんとご飯もお菓子もデザートもあげてるし! 毎日してるわけじゃないし! ただ、どうしても食欲が止まらないんだ……!
言ってて自分が情けなくなってきた。 うん、夜中にまで食べるのは、さすがにもう止めよう……。
そんな7日間が過ぎたあと、危機感を持ったジョシュアが言い出した。
「ねぇ、アンタ、太り過ぎじゃない?」
いや、お前もな。
「う、うん……。 でも、ジョシュア君も相当だよ」
ジョシュアはムッとしながら、ダイエットの必要性を説いてきた。
「いや、俺だって分かってるけどさ〜。 なんか楽にできるダイエットとか無いのかな〜」
ジョシュアは大きいため息をついた。
「ギルドに行って、依頼受けて身体動かした方がいいと思う」
「えぇ〜? ラウルさんから返事もまだだし、もうちょっとゴロゴロしてようよ〜」
「あのさ、アンタ、大人なんだから……」
と、ジョシュアが説教モードに入ったところで、誰かが部屋のドアをノックした。
「は〜い!!」
とモコが走ってドアを開けると、この前の伝書局の気の弱そうな男性と、ビシッとした礼服のような服装をした、俺より少し上くらいの年齢の濃い顔のハンサムな男性が立っていた。
「あ、どうぞお入りください」
俺が声を掛けると、2人は頭を下げてから部屋の中に入り、俺とジョシュアの前まで来ると、また深々と頭を下げた。
「先日は大変失礼致しました。 本日はお詫びと、お二人宛の郵便をお持ちしました」
「わざわざすいません。 もうお詫びは結構ですから」
正直、時間も経っているし、本当にどうでもよくなっている。
「調査に時間がかかってしまい、お詫びにお伺いすることが遅くなってしまい、重ねてお詫び申し上げます。 該当の職員につきましては厳正に処分いたしましたので、今後皆さんにご迷惑をおかけすることはございません」
「はぁ……」
「で、こちらが手紙です」
俺は二通の手紙を受け取ると、特に俺としてはもう終わりで良かったんだけど、何やらまだ話したそうな雰囲気だったので二人をソファーへ促した。
「まずはどうぞ、お座りください」
「はい……」
「まずは名乗り遅れて申し訳ございません。 私はローレンスと申します」
と、気弱そうな伝書局の男性が名乗った。
「私はギュンターと申します」
ハンサムな男性が名乗る。
「あぁ、私はハヤシ、こちらはジョシュア、この子はモコといいます」
モコは知らない人が部屋にいるのが怖いのか、俺にしがみついて離れない。
「あの、謝罪はもう結構ですから……」
「この度は恩情を承り、誠にありがとうございます。 あの〜、申し訳ないのですが、本日は……」
気弱なローレンスさんはしどろもどろだ。 代わりにギュンターさんが話し出す。
「私は、マリタのギルドマスターをしております。 そこで本日伺ったのは、聖アルフォンソ騎士団のジョシュア様と、その御一行様に依頼をお願いしたく参じました」
とギュンターさんは、しっかりとジョシュアを見据えて言った。
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