「な、なに、ココ……」
俺はこわばりながらジョシュアに聞くと、
「だから言ったじゃん……。 すげぇんだよ、ココ……」
「なぁに、これぇ〜〜??」
「モコ、ダメ!」
モコは触りたくてうずうずしている。
「これはね、カエルさんの卵だから、触っちゃダメなんだよ?」
「うん、わかった!」
この卵は、モンスターではない普通のカエルのものらしかった。 もう、ウネウネ・グチョグチョしていて、目もあてられない。
このフロアからはポイズンフロッグやウォーターフロッグなど、カエル系のモンスターばかりが出てくる。
1メートルくらいの大きさのものから、小さいものまで、大小様々なカエルだらけ。
カエル系モンスターは一般的には食べないそうだけど、漢方薬的な感じで煎じて飲むと滋養強壮にいいらしい。
「ジョシュア君、拾うの手伝ってよ」
「ムリ」
コイツ、また反抗期がぶり返したのか?
なぜかカエル系のモンスターは出てくる数も半端なく、途中で俺は魔力切れを起こしてしまった。
「俺、もう魔法打てないわ……」
「は? 剣で戦えば?」
ジョシュアはまるで他人事のようだ。
「いやいやいや、無理だって。 モコに乗ったダメージがまだ腰に残ってるし、無理! ジョシュア君やれば?」
「は!? 俺も無理だから!」
どうやらジョシュアはカエルが苦手らしく、魔法でも戦いたくないようだ。
「じゃあ、モコがたおす!!」
「あぁ、モコ、ありがとうね」
「うん!!」
量が多いからか、モコはサンダーアローでポイズンフロッグを矢で串刺しにして倒しまくる。
そこから先、モコは雨のようにサンダーアローを放ちまくり、俺たちは50階層まで到達した。
「なんか、キリがいいからボスでもいるかと思ったらなんにもないんだね」
「ここまでだって強くてCかDランクしかいなかったんだから、まだまだなんじゃない?」
モコがモンスターを倒す役目を担ってくれているので、とにかく今まで以上にサクサク進むことが出来た。
70階層まで到達した時点で、俺の腰が悲鳴を上げる。
「も、もう、今日はここでテント貼ろう……」
「はぁ〜〜〜い!」
モコは元気よく手を上げる。
「今日はあの毒みたいな風呂はやめてよね」
「あはははは、分かったよ」
「え〜〜〜? モコ、あれがいいなぁ〜〜〜」
ジョシュアはモコには甘いので、結局、またクール系の入浴剤を使うことになったんだけどね。
その日モコはジョシュアとお風呂に入る、と言い出したので、その通りにした。
二人でお風呂に入っている様子は外に漏れて聞こえてくるんだけど、モコはゲラゲラ笑っているので、ジョシュアはよほどおかしなことになっているんだろう。
そして二人は風呂上がりのガ〇ガ〇君にどハマりし、何本も食べ、寒いと言って温かい煎茶を仲良く飲んでいた。
次の日、90階層あたりから急激にモンスターが強くなってきた。
相変わらずカエル系のモンスターも出てきたけど、それ以外にもブルーサーペントやグランドサハギンなどなど。
ランクにすればAやBあたりがゴロゴロと出てきた。
まぁ、モコにはまったく無問題なんだけどね。
ついに100階層にたどり着くと、そこはまるで海そのものだった。 周りに島など何もない海の上空に放り出されたのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺たちは急降下で落ちていく。
そのときモコは咄嗟に俺たちに何かの魔法をかけた。
大きなシャボン玉のような中に俺とジョシュアは包まれ、そのまま宙に浮いたままでいる。
「孝史、これは幻術だ! 心配しなくても大丈夫だから!」
あれ? モコ、中身も大人に戻ってる!!
「二人ともそこを動くな!」
そう言うなり、モコは海に向かって飛び込んで行った。
次の瞬間、海竜が姿を現した。 デカいなんてもんじゃない。
あまりの恐怖に、ヤバい、チビりそう……。
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