「なんかムシムシするねぇ〜!!」
モコはジメジメとした洞窟内の湿気が不快らしく、顔をしかめている。
「そうだねぇ〜」
いつもの綺麗な銀髪さらさらロングヘアーも、こころなしかぺったりしている気がする。
「なぁ、ジョシュア君もこのダンジョン来たことあるんでしょ? なんで撤退したの?」
「時間がかかり過ぎたから。 最初から2日間だけの予定だったし」
「ふ〜ん」
ダンジョンではアーヴァンクなど水辺にいるモンスターから、オークやオーガ、ゴブリン、スライムなどのお馴染みモンスターが入り交じって出現した。
「アンタもう少しレベルあげた方がいいから」
とジョシュアに言われ、俺が倒していくことになった。
ジョシュアはどうやらダイエットに成功したことで、もう動きたくないらしい。
洞窟内では時間の感覚が分からなくなる。 湿気で気持ち悪いためか、昼時になってもモコはいつもの「おなかすいた!」を言わなかった。
「モコ、お腹空かないの? もうお昼だけど、ご飯食べれる?」
「う〜〜〜ん……」
元気がないな……。 いや、こんなときこそ食べなきゃチカラが出ないだろ。
でも、何かさっぱりしたものがいいよな……。
「ねぇ、俺もなんか気持ち悪いから、今日は手伝えないから」
ジョシュアが先制パンチをかましてきた。
「分かったよ……」
俺も夏バテみたいで具合悪かったので、結局、薬味たっぷりのトマト入り素麺で済ますことにした。
俺は汗だくで麺をゆで、薬味を切ったのにも関わらず、ジョシュアはシソが気に食わなかったようだ。 全てのシソを取り除き、ブツクサ文句を言っている。
「うまいのにどうして!? のこしちゃダメなの!!」
と、モコが代わりにジョシュアを怒ってくれた。
二人とも夏バテみたいになってたわりに、モコもジョシュアもいつもと同じ量を食べていた。
ホント、みんなよく食べるな……。 まぁ、食べれないよりはいいんだけどさ。
そのまま俺たちはダンジョンを進み、特に苦戦することもなく順調に攻略していった。
夕方にはダンジョン内でキャンプを張り、早めに休むことにした。 さっぱりするためにモコに浴室を作ってもらい、浴槽を設置する。
「モコ〜、今日は面白いお風呂に入るからね〜」
「おもしろいおっふ? なぁに??」
「うん? 入ってからのお楽しみだよー」
俺とモコは頭と身体を洗ってから、浴槽に入る。
「!?」
モコは一瞬、何が起こったのか分からないようだった。
「たかふみ、なんか……。 なんか、コレへん!!」
フフッ。 今日はクール系ミントの入浴にしたのだ。 それも、エクストラハードタイプのな……!!
というか、ハッカ油も足して入れた。
最初はどうしたらいいのか分からなかったモコも、次第に気持ち良さが分かってきたらしい。
キャッキャキャッキャと手を叩いて喜んでいるが、なんせ190センチ以上の絶世の美青年がそうしている姿は、どう形容したらいいのかわからない気持ちにさせる。
っていうか、こんなことになるんだったら、もっと大きい浴槽買えば良かったか……。
次に入ったジョシュアも、クール系ミントのお風呂にびっくりしたようで、
「これ、毒入ってるんじゃないの!?」
と、全裸で飛び出してきた。
モコはその姿を見て、爆笑している。
やっぱ、エクストラとハッカ油はやり過ぎだったな……。
風呂上がり後もしばらく入浴剤効果が続き身体がスースーすることに、モコは喜び、ジョシュアは毒の可能性を捨てきれないでいたので、俺は思わず吹き出した。
次の日40階層に入った俺は、驚愕の景色に全身サブイボが立った。
壁という壁に、カエルのタマゴが張り付いていたのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!」と叫びながら首をすくめると、ジョシュアも俺の隣で小声で「うわぁぁぁ……」と言いながら首をすくめていた。
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