それなりの大学を卒業し、大手の会社で平社員として勤務していた伊瀬場興隆(いせばこうりゅう)は高校の同窓会で同じ学校で想いを寄せていた筒清安希穂(つつしみあきほ)と偶然にも再会を果たす。興隆は安希穂のことが好きだったが、その大人しく臆病な性格上、安希穂には告白できない仕舞いだった。
このまま安希穂と離れてしまえば、今度こそ後悔する。そう思い、勇気を振り絞って連絡先を聞き出すのに成功した。
次の日、事前に連絡したレストランにて夕食に誘ってみたのだが、約束の時間を過ぎても安希穂はやって来ない。
興隆は不思議に思い、連絡先に電話をかけたのだが、電話に出たのは若い男の声であり……。
『お嬢ちゃんの身柄なら俺が預かった。助けて欲しければ身代金を用意しな!』
はあ? このキャッシュレスのご時世にいきなり何を言い出すんだ。もう意味が分からない……。