勇気と共に。

⚔第一章⚔知られざる過去
ケンリス・アスペルガー
ケンリス・アスペルガー

第7話 プロストウェインからの旅立ち

公開日時: 2021年4月16日(金) 17:17
文字数:1,620

ケンリスの調子も良くなり一行は出発する事となった。

支度をし終わったケンリスが皆を急かす。



「おいまだかよ!早く行こうぜ?日が暮れちまうよ」


「分かった分かった」


「今行きますよ。」



集まると、ケンリスとアルウィンは、ここに来たときの格好だった。そしてネオラストは、



「すみません。準備が遅れました。」



いかにも賢者らしいローブに、

賢者らしい杖を持っていた。

…が、

その杖からぶら下がる

禍々しい刺の生えた鉄球がその雰囲気を全て台無しにしていた。



「えっと、その鉄球は何だ?」


戸惑ったようにアルウィンが聞く。



「武器ですよ?近づかれると魔法は使いにくのでね。それに、この刺は刺さった相手の魔力を吸収するのですよ。そして、杖を通して私に供給されるのです。ふふふ………」



ケンリスは言葉も出ないようだ。



「では、出発しましょうか。」

「そ、そうだな。」



アルウィンが同意。



「どうしたのですか?ケンリスさん。日が暮れてしまいますよ。」


「あ、はい…」



ケンリスはまだ怯えていた。

そしてネオラストは、

…明らかに楽しんでいる。



「さあ、参りましょう!」



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「で、どこに向かうんだ?」



ケンリスが聞く。



「そうか、ケンリスは寝ていたから知らないのか。」


アルウィンが言った。




「エルフの里に行くのですよ。魔王についての情報を集めるのです。」


「了解!」




ケンリスはもう元気が戻っていた。

その足取りは軽い。



「ケンリスは、旅が好きなんだな。」


アルウィンが微笑みながら言った。



「楽しいだろ?」


「ああ、そうだな。」


「そうですね。」



そんな会話をしていると、魔物が襲いかかって来た。

それも普段よりも多い。




「いくぜ!」


「俺たちはリーダーを叩く。ネオラストは他を排除してくれ!」


「了解しました!」



ケンリスがアルウィンの足元に魔法陣を作り、

アルウィンが身体強化される。

そして自分にも同じようにした。



クレイツ爆撃!」



ネオラストの爆裂魔法で、大方が片付いた。



「ケンリスはそっちから回りこめ!」


「おう!」



リーダーの両側から2人が回り込む。

その時、ネオラストの背後で影が動いた。



「ネオラスト!後ろ!」



アルウィンが叫ぶか否か、

ネオラストはその鉄球で魔物の頭を粉砕していた。

アルウィンは安堵した。心配はないようだ。



「ケンリスいくぞ!」


「おらぁ!」



ケンリスが血に飢えた魔物の足を一本切り落とす。

グールはそのケンリスの腕に噛みつこうとした。

それをケンリスは籠手で受け止める。



「アルウィン今だ!」



アルウィンの剣がグールの胴体を切り裂く。

その断末魔が、戦いの終わりを告げた。



「えっと……そ、その血に汚れた鉄球はなんなんだ…?」


ケンリスは震えながら聞いた。




「後ろから襲ってくる卑怯な魔物の頭を砕いたのですよ?」



ケンリスの顔が引きつる。




「しかし、接近戦も出来るとはなかなかだな。」


アルウィンが感心したように言う。


「杖が長い柄になってくれるので、扱いやすいのです。」



それから、アルウィンが言った。



「今日は、あの木の下で野宿だな。」


「そうですね。」


「ネオラストにも俺の料理を食わしてやるぜ!」



木の下まで行くと、

ネオラストはテントを建て始めた。

ケンリスは料理の下ごしらえをし、

アルウィンはいつものように薪を拾いに行った。



「ありがとよ」



ケンリスに薪を渡すと、

アルウィンはネオラストを手伝いに行った。

大型のテントだった。



「ケンリスが料理している間に、行き先の確認をしておこう。」


「そうですね。」



かくして、3人は食事を終え、テントに入った。



「2人共そんなに警戒しなくても良いですよ。外には結界を張ってありますから。」



これまで、2人は寝る時はシートをひいて、

同じ木にもたれ掛かるようにして寝ていた。

剣も、体に立てかけて

いつでも抜けるようにしていたのだ。



「横になって布をかぶって。疲れが取れませんよ。」



言われるがまま、2人はその通りにした。



「こういうのも、良い物だな。」


アルウィンが天井を見て言った。

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