「森が深くなって来ましたね。」
プロストウェインとエルフの里の間には、
この魔の森が広がっている。
「にしても変だなー。全然虫がいねぇ。虫除け買って損したぜ。」
ケンリスはプロストウェインで買った
虫除け草の汁を身体中に塗っていたのだ。
「魔の森というからには、何やら魔物がいるのだろう。くれぐれも気を付けろよ。」
アルウィンが忠告した時
「おい、そっちでなんか動かなかったか?」
ケンリスが指差した方を2人も見るが、何もいない。
「気のせいか…」
枝や背の高い草を切り払いながら進むも、
ケンリスはずっと妙な表情をしている。
「やっぱりなんかいるぜ!おかしいだろこの気配!」
ケンリスは剣を抜いた。
「何を言っているんだ?何もいないじゃないか。」
アルウィンは言う。
「では、少し魔法で周囲を探ってみましょうか。 クアリア!」
ネオラストが目を閉じた。
ネオラストの体から膨大な量の魔力が放たれ、
密度を薄くして体積を爆増させる。
それを辺り一帯に振りまいた。
そして—
「ここは、魔物の巣の真ん中です。」
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ネオラストがそう言うと、
急に空間が歪み始めた。
そしてそれらはいくつかの緑色のまとまりとなり…
「人喰いカメレオンだ!」
アルウィンが叫んだ。
カメレオンが舌を伸ばして来る。
それをアルウィンが切り落とそうとするが、
「なに!?」
舌は粘液でぬるんと
アルウィンの剣を受け流してしまった。
「こいつら、物理攻撃が効かないのか! フェリア!」
アルウィンがケンリスの剣に炎を放ち、
「っしゃいくぜ!」
ケンリスは突撃。
同時に魔法陣を展開した。
ネオラストは爆撃魔法で、
アルウィンも炎の魔法で加勢した。
ケンリスは、
炎を放たず剣に纏わせたままで攻撃している。
そしてある時、
「うわあああ!!!!」
ケンリスが一匹のカメレオンに飲み込まれた。
「ケンリス!」
アルウィンが助けにいこうとするも、
目の前の敵がそうはさせてくれなかった。
が、
「うるぁあ!」
ケンリスはカメレオンの喉を切り裂いて出て来た。
「中からならいくらでも切れるぜ!」
しかし、その直後のことだった。
突然ケンリスは倒れた。
「どうしたんだ!?」
「う…動けねぇ…」
「ちっ毒があるのか…!」
カメレオンがケンリスを襲おうとした時、
「オアビス!」
ネオラストの結界がケンリスを囲んだ。
寝る時にも使っている魔法だ。
「よし。」
アルウィンネオラストと共にまた戦闘に戻った。
しかし、前衛のケンリスが居なくなったことで、
確実に戦局は悪化している。
カメレオンの舌がアルウィンの腕に絡む。
「ちっ。フェリア!」
「一旦逃げましょう」
「そうだな。」
2人はケンリスの近くへ行き、
「……マプト」
ネオラストの転移魔法で森の外に出た。
ケンリスはぐったりとしていたが、
「サントゥス」
幸いアルウィンの浄化魔法でどうにかなった。
「あそこまでとはな……」
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