勇気と共に。

⚔第一章⚔知られざる過去
ケンリス・アスペルガー
ケンリス・アスペルガー

第9話 大地魔術師

公開日時: 2021年4月17日(土) 00:23
文字数:1,633

「どうしたものか…」


アルウィンは呟くように言った。



「いっそのこと、森ごと焼き払ってしまいましょうか?」



ケンリスがぎょっとした目を向ける。



「それも良いかもしれないが…時間がかかり過ぎるし、関係の無いところにまで被害が及ぶかもしれない。」



また、沈黙。その時 ー



「お困りのようね!」



背後には、茶色のツバの大きなとんがり帽子をかぶったドヤ顔の女がいた。



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「なんだお前」


訝しげに聞くアルウィン。



「私は偉大なる大地魔術師、ユウリナ様よ」


「偉大な魔術師…?そうですか…そう名乗りますか…」



ネオラストの頭上に、巨大な火球が生み出された。



「あら、いきなり物騒なのね。ならこちらも…」



大地魔術師の頭上には、巨大な岩が形を取り始めた。



「「はぁ!!」」



2つの魔法が激突し、

…相殺した。



「手加減が過ぎましたか。それではもう一度……」


「やめろ」



アルウィンがなだめた。



「で、お前はなんなんだ?」


「言ったでしょう?私は偉大なる…」


「まだ言いますか?次は本気で行きますよ?」


「やめろと言っているだろう」



呆れたようにアルウィンがもう一度言った。

一方ケンリスは…

まだ震えている。




「魔法使いって…み、みんなこうなのか…?」


「いや、こいつらだけだろう。」


アルウィンはケンリスに良い、

もう一度そのユウリナと名乗る女に聞いた。


「で、お前は何をしにきたんだ?」


「人喰いカメレオンに苦戦しているのでしょう?なんなら仲間になってあげてもよくてよ」



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「私なら、あのカメレオン達を一掃出来るわよ?」


「私が出来ないことを、貴女ができると言うのふがっ」



アルウィンにネオラストは口を押さえられた。



「なんでそんな事が分かるんだよ?」


ケンリスが言った。



「さっきの魔法見たでしょう?あれなら、あのカエルどもを潰せるわ。」


「なるほど。俺たちに協力してくれるのか?」


「そうよ。」


「なぜそんなことを?」


ネオラストが顔をピクつかせながら聞く。



「暇だからよ。」


「そんな理由で来てもらっても困る。」


「いいじゃない別に。私の力は確かよ?」


「どうやらそれはその様だな。」


アルウィンは少し考える。

それから、アルウィン、ケンリス、ネオラストは集まって話し合った。




「良いんじゃねぇか?別に。岩で押し潰したら、あいつらも何も出来ねぇだろ」


「それもそうかも知れない。確かに彼女の魔法は役に立つだろう。」


「私は反対ですよ。あんな半端な覚悟で来てもらっても困ります。」



暫しの沈黙。


そして、アルウィンが言った。



「よし、彼女を仲間に入れよう。」



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「あら、話はまとまったのかしら?」


「ああ。ユウリナには仲間になってもらう」


「1人増えるのは、戦闘で有利でしょう。」


「よろしくな!」



ケンリスはとても嬉しそうだ。



「それじゃ、作戦会議ね。」


「ああ。そうだな。」



アルウィンが同意。



「ケンリスには、前と同じように前衛になってもらう」


「おっけい!」



「待って?奴らには剣は効かないわよ?」


「俺の剣は普通じゃあないぜ?魔法を剣にまとわすことが出来るんだ!炎をまとって斬るんだ」


「へー。変な奴」


「な!?」



ケンリスは信じられないというような顔をしている。



「そして、俺たち2人は魔法を使う訳だが、ユウリナ。お前の魔法はどのくらい使えるんだ?さっきのを連発できる訳じゃ無いだろう?」


「そうね。これくらいのなら200発はいけるわ。……ジテア!」



ユウリナは人の頭の2倍くらいの魔法岩を作り、近くにある岩を粉砕した。



「こ、こぇえ…」


「ね?これなら十分でしょ?」


「ああ。そうだな。」



「それじゃ、今日は休んで、明日出発だな。」

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