「どうしたものか…」
アルウィンは呟くように言った。
「いっそのこと、森ごと焼き払ってしまいましょうか?」
ケンリスがぎょっとした目を向ける。
「それも良いかもしれないが…時間がかかり過ぎるし、関係の無いところにまで被害が及ぶかもしれない。」
また、沈黙。その時 ー
「お困りのようね!」
背後には、茶色のツバの大きなとんがり帽子をかぶったドヤ顔の女がいた。
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「なんだお前」
訝しげに聞くアルウィン。
「私は偉大なる大地魔術師、ユウリナ様よ」
「偉大な魔術師…?そうですか…そう名乗りますか…」
ネオラストの頭上に、巨大な火球が生み出された。
「あら、いきなり物騒なのね。ならこちらも…」
大地魔術師の頭上には、巨大な岩が形を取り始めた。
「「はぁ!!」」
2つの魔法が激突し、
…相殺した。
「手加減が過ぎましたか。それではもう一度……」
「やめろ」
アルウィンがなだめた。
「で、お前はなんなんだ?」
「言ったでしょう?私は偉大なる…」
「まだ言いますか?次は本気で行きますよ?」
「やめろと言っているだろう」
呆れたようにアルウィンがもう一度言った。
一方ケンリスは…
まだ震えている。
「魔法使いって…み、みんなこうなのか…?」
「いや、こいつらだけだろう。」
アルウィンはケンリスに良い、
もう一度そのユウリナと名乗る女に聞いた。
「で、お前は何をしにきたんだ?」
「人喰いカメレオンに苦戦しているのでしょう?なんなら仲間になってあげてもよくてよ」
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「私なら、あのカメレオン達を一掃出来るわよ?」
「私が出来ないことを、貴女ができると言うのふがっ」
アルウィンにネオラストは口を押さえられた。
「なんでそんな事が分かるんだよ?」
ケンリスが言った。
「さっきの魔法見たでしょう?あれなら、あのカエルどもを潰せるわ。」
「なるほど。俺たちに協力してくれるのか?」
「そうよ。」
「なぜそんなことを?」
ネオラストが顔をピクつかせながら聞く。
「暇だからよ。」
「そんな理由で来てもらっても困る。」
「いいじゃない別に。私の力は確かよ?」
「どうやらそれはその様だな。」
アルウィンは少し考える。
それから、アルウィン、ケンリス、ネオラストは集まって話し合った。
「良いんじゃねぇか?別に。岩で押し潰したら、あいつらも何も出来ねぇだろ」
「それもそうかも知れない。確かに彼女の魔法は役に立つだろう。」
「私は反対ですよ。あんな半端な覚悟で来てもらっても困ります。」
暫しの沈黙。
そして、アルウィンが言った。
「よし、彼女を仲間に入れよう。」
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「あら、話はまとまったのかしら?」
「ああ。ユウリナには仲間になってもらう」
「1人増えるのは、戦闘で有利でしょう。」
「よろしくな!」
ケンリスはとても嬉しそうだ。
「それじゃ、作戦会議ね。」
「ああ。そうだな。」
アルウィンが同意。
「ケンリスには、前と同じように前衛になってもらう」
「おっけい!」
「待って?奴らには剣は効かないわよ?」
「俺の剣は普通じゃあないぜ?魔法を剣にまとわすことが出来るんだ!炎をまとって斬るんだ」
「へー。変な奴」
「な!?」
ケンリスは信じられないというような顔をしている。
「そして、俺たち2人は魔法を使う訳だが、ユウリナ。お前の魔法はどのくらい使えるんだ?さっきのを連発できる訳じゃ無いだろう?」
「そうね。これくらいのなら200発はいけるわ。……ジテア!」
ユウリナは人の頭の2倍くらいの魔法岩を作り、近くにある岩を粉砕した。
「こ、こぇえ…」
「ね?これなら十分でしょ?」
「ああ。そうだな。」
「それじゃ、今日は休んで、明日出発だな。」
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