勤めはじめの頃はね。
「看護婦さん」とか呼ばれると
「看護師って言えよ」って
心の中でぼやいたものですよ、実際。
でもね
本当に苦しいときに、高齢の患者さんから
「かんごふさん、かんごふさぁん!」
って呼ばれると、
「看護師さん」って呼ばれる時より
気が引き締まったです。
自分の親か、それより年上の方が
本気で自分を頼ってるんですから。
当たり前ですよね。
でもね。一度だけ 複雑な時がありましたね。
虫垂炎で入院した中学生の男の子だったんですけど。
その子が、深夜になるとナースコールを連打して、
狂ったように繰り返すんですよ。
「かんごふさん、かんごふさん、早ぅ助けれ、かんごふさぁん――」
御家族によれば
彼には一昨年亡くなったお祖父様が居たそうで
同じような言葉を 亡くなる前に繰り返しておられたようで・・・
あ、その子は無事に手術も成功して、
先月退院して行かれましたよ。
〝看護師さん、ありがとう〟
最後には 笑顔で言われました。
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