真事の怪談 ~辻斬り 四十九連斬~

月も隠れし夜闇の底で。あなたは怪異に斬り苛まれる――
松岡真事
松岡真事

第四十四斬 『ぼくも』

公開日時: 2021年7月9日(金) 14:00
文字数:399

 金満家きんまんかの親戚から、美味おいしいバイトを紹介された。


 彼ら所有の別荘へ オフシーズンに泊まり込み 掃除や料理などをし、

 家屋かおくの生活感をたもつ という内容。

 一も二もなく 数人の友達と一緒に引き受けた。


 予想通り 仕事というかお金を貰って遊ばせて頂いてるって感じで。

 夜中はダイニングでてつマンという流れになったのだが、

 誰が提案したものか途中で麻雀マージャンはお開きとなり

 年末テレビで恒例の『笑ってはいけない』ごっこを行うハメになってしまった。


 各々交互おのおのこうごに何らかのネタを披露ひろう

 笑った奴には皆でシッペ一発。

 滅法めっぽうアホっぽい遊びだが、正直 麻雀より盛り上がった。


 翌日。


 早起きの奴らが何やらざわつく声で目が覚めた。

 うッせぇゾ、と苦言をていすと、

 「ちょっと来い。お前の悪戯イタズラじゃねぇだろな」

 とがめる風な口調で昨夜さくや騒ぎに騒いだダイニングまで連行され、

 冷蔵庫横に掛けてあるホワイトボードを指さされた。




 〝ぼくもイタイコトさせろ〟




 という一文が

 赤い鏡文字で書かれていた。


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