真事の怪談 ~辻斬り 四十九連斬~

月も隠れし夜闇の底で。あなたは怪異に斬り苛まれる――
松岡真事
松岡真事

第十二斬 『背中男子』

公開日時: 2021年6月7日(月) 16:00
文字数:286

 ある日、カレシの腰から男の子が生えた。


 可愛かわいらしい顔の、十二歳くらいの少年だ。


 カレシと背中合わせになって、時々こっちを後ろ目に見てくる。


 何も着てないぱだか。ただしおヘソから下はカレシの腰の中。


 そう言えば彼、中一の時に亡くなったお兄さんが居たって言ってたっけ。


 何で今更いまさら出てきたんですか、お兄さん?何で弟の腰から?ていうか弟、気付いてないの?

 いろいろ考えてたら、彼、突然真顔まがおになって姿勢を正し、



「エリカ、単刀直入たんとうちょくにゅうに言う。 俺と結婚してくれ!!!」



 え。

 は、はい。喜んで。



 お兄さんが、ニィッと蠱惑こわく的な笑みを浮かべる。


 トクン、 ときめく私の心臓。


 ・・・・・・これからよろしくね。お兄さん。

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