身を切るほどに冷え込んだ冬の夕暮れ時。
昨年亡くなった母親から電話が掛かってくる。
「お父さんが見つからない。悲しい、悔しい、情けない・・・」と
何度か繰り返して一方的に切れた。
数日後、再び電話が鳴る。
四年前に他界した父からである。
「母さんは何処だ。まだこっちへ来んのか」
一言残して切れた。
こういうことが稀に起こる。
何故かはわからないが
二人は、向こうで出会えていないらしい。
また、この事案と何らかの関連性があるのかすらわからないが
亡くなった両親のいずれかから電話が掛かってきた日の深夜には
スヤスヤ眠っていた筈の妻が突然跳ね起き、
奇声を発しながら 寝室の中を暴れ回る。
たとえ 妻に電話が掛かってきた事を内緒にしていても
かならず、である。
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