真事の怪談 ~辻斬り 四十九連斬~

月も隠れし夜闇の底で。あなたは怪異に斬り苛まれる――
松岡真事
松岡真事

第三十三斬 『通園帽』

公開日時: 2021年6月28日(月) 14:00
文字数:300

 深夜、夜食を買いに行こうと向かったコンビニの駐車場。


 するとそこに


 地面の上に置かれた幼児用の黄色い通園帽つうえんぼうに向かって

 何やら話しかけている老婆の姿が。


 関わり合いになりたくなかったので無視しようとしたが、


 いきなり通園帽がネズミのような素早さでピューッと地面の上を滑り出し、


 何やら奇声をあげた老婆の側から一瞬にして離脱。道路の向こうへと消えていく。



 眺めすぎてた。

 うっかり老婆と目が合う。

 話しかけられる。



「アンタ、見てたんかい。

 だったらアンタもあの子の話し相手になっておくれよ。

 あの子は、ああ見えて 実はね・・・・・・」



 みなまで聞きたくなかったので、全力ダッシュで家まで逃げ帰った俺。

 ――以上、夜食を食いそびれた話。


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