真事の怪談 ~辻斬り 四十九連斬~

月も隠れし夜闇の底で。あなたは怪異に斬り苛まれる――
松岡真事
松岡真事

第六斬 『おてだま』

公開日時: 2021年6月3日(木) 16:00
文字数:294


 なかよしのルミナちゃんのおうちは

 わたしんちから あるいてじゅっぷんくらいのところに あります。


 まえにいちど あそびにいったとき 

 げんかんのすみっこに

 よごれたふくをきて

 おてだまをしているおとこのひとがいるのを

 みつけました。


「このひと だぁれ?」


 ルミナちゃんにきくと


「みえるの?」とびっくりされました。


 そして「あれ じつはユーレーなの」と いいます。


「ふーん。 でも おてだまのじょうずなユーレーだね。

 よんこも おてだまができるなんて すごい!」


 わたしがほめると ルミナちゃんは くびをよこにふりました。


「あれは おてだまじゃないの」

「えっ。 じゃ なに?」



  うごかないハムスター。



 ――それから

 ルミナちゃんのおうちには

 いってません。


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