友人のサチが神社でお祓いを受けたというので、理由を尋ねてみた。
「私さ、会社にお弁当作って来るじゃん」
「うん」
「それが最近さ。お昼に開いてみたお弁当の中身が、朝作ったのより明らかに減ってるんだよね」
「え・・・?」
「これはたぶん霊の仕業だと思って。神主さんに相談してみたわけ」
霊以外の、もっと切実な何かが原因なのでは・・・と思ったが、敢えてそれ以上は何も言わなかった。
サチは昔から、ちょっと不思議ちゃんなところがあったし。
――結論から言えば、例の〝お祓い〟から後、
お弁当の中身が減る怪異はナリを潜めているようだ。
サチも「お祓いが良かったんだ」と納得している。
「でもやっぱりあの時のあれは、大昔に餓死した人とかだったんだろうね-。
だって、米や餅が食いたいって。毎日毎日、枕元で言ってたからサ!」
・・・昼休みに、サチがポロリと零した意味不明の発言は
追求したら何だか怖くなりそうなので、拾わなかった。
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