この町には幼少の頃から住んでおりますが、
近所の池の上には生首が浮かぶのです。
ええ、落ち武者でしょう。
ざんばらの、青白い首なのですがね。
気味の悪いことに、顔面へ御札を貼り付けているのです。
書かれている文字についてちょっと調べてみましたが、
どうも仏様の功徳を表す〝梵字〟というものらしくて。
いやはや、どんな死に方をすればあんな姿になるんでしょうな。
え、私の他にも見える人がいる?
御札でなくサ〇ンパスに見えている?
ハハハ・・・文字の書いてある様がわからないんでしょうかね。
若い人は面白いことを仰るものだ。
ああ、そうそう。アレね。
見続けていると、だんだん大きくなってきますよ。
だから十年も経てば、その女性にも御札の文字が読めるようになるでしょう。
目視に堪えれば、の話ですがね。
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