小学五年生の頃。
同級生の森くんに、手作りのミサンガをプレゼントした。
森くんは絵に描いたようなサッカー少年で、私の初恋の人。
でも、それから数日のうちに
森くんの腕に巻かれたミサンガは二本、三本、四本と数を増していった。
どうやら密かに彼を想っていた女子らが、
しょっぱなの私に負けるまいと躍起になり
ミサンガを贈りまくっているようだ。
当の森くんは
それを男友達に見せびらかし、悦に入っているらしい。
――何か幻滅した。
恋が冷めるという感情を生まれて初めて経験した。
が、それから半月ほどで。
森くんの両腕から、全てのミサンガが消えた。
何でも、すべて同じ日にプツリと切れたとの事。
願い事が何でも叶うぞ!と。本人は有頂天だったが。
それから幾日も経たないうちに、
森くんは練習中
両足のアキレス腱を切り、長い車椅子生活を余儀なくされた。
とても不自然な事故だったようだ。
子供ながらに、
「世の中は上手く出来てるなぁ」と思った。
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