「通学路に、朝顔の木があるよ」
小学生の息子が言った。
「朝顔は木には咲かないよ」
「咲いてるよ」
「へぇ。何処に。連れてってくれよ」
「うん、いいよ」
勘違いをからかう腹づもりであったのだが、
実際案内されて 逆に唖然となった。
伸びに伸びた朝顔のツルが細い木の幹を伝って上方へ伸び、
繁った葉っぱの中で 幾つもの青い花を咲かせていたのだ。
「ホー、これは珍しいもんだな」
「そうなの?お父さん」
「ああ。撮っとこう」
と、スマホを向けた瞬間
咲いていた無数の朝顔が
一斉にボトボトと地上に落ちた。
「ぎゃあああああ!!」
私もビックリしたが、息子の驚き方は異常とも言えるものだった。
ほとんど引き付けのような状態となったので
仕方なく背中に負ぶって帰った。
息子は、今でもこの時の話をすると本気で身震いし 「やめて!」と泣く。
いくら何でも怖がり方が過剰だ。
・・・・・・私が知らない何かを
あのとき 見てしまったとしか 思えない。
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