喉の渇きをおぼえ、深夜遅く 目を覚ました。
台所に行って冷蔵庫の中からミネラルウォーターを出そうとしたら、
誰かが飲み干してしまったのか影も形も無い。
仕方なく水道水を飲もうとするや、
「それをしてはいけない」
「手首が切れて、血が流れるぞ」
という不可解な直感が脳裏を走った。
納得いかないものを感じながら 思いとどまった。
渋々、ふだんあまり飲まない牛乳を飲んで寝た。
翌日早朝。耳をつんざくような絶叫で目を覚ました。
どうも台所のような気がして行ってみると、
果たして 高校生の妹が手から血を流して泣いている。
「飲んだのか」
「うん、痛い痛い・・・」
「わからなかったのか」
「何か飲んじゃいけないって頭に浮かんだんだけど、
喉 渇きすぎてて――」
妹の傷は意外に深く、直ぐに救急車を呼んだ。
親には正直に説明したが、まったく信じてはくれなかった。
それ以来、
妹は 自ずから手首を切るようになった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!