真事の怪談 ~辻斬り 四十九連斬~

月も隠れし夜闇の底で。あなたは怪異に斬り苛まれる――
松岡真事
松岡真事

第十九斬 『湿布首』

公開日時: 2021年6月14日(月) 16:00
文字数:307

 最近、通勤路つうきんろの途中にある池の上に、生首なまくびが浮いている。


 日の高いうちは現れないけれど、

 帰り道、ちょっと薄暗くなった時間帯には必ず見る。

 たぶん、昔の人。

 あの、サイドだけ長くて真ん中ハゲのヘアスタイル。

 ざんばら髪っていうの?それ、それ。


 昔の人のくせに 顔面全体にサ〇ンパスみたいなの貼り付けてる。

 そのせいで、面構つらがまえが確認出来ない。

 まぁ、別にどうでもいいけど。


 こないだ、自称『見える』って友達にそれ話したら、青い顔でこう言われた。



「あんた、それサ〇ンパスじゃないよ。絶対違うよ・・・」



 じゃあ何だっていたら、言葉に詰まってそそくさ去ってった。

 わけわかんない。


 今日も帰り道に見た。生首。

 やっぱサ〇ンパスまみれにしか見えなかった。

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