真事の怪談 ~辻斬り 四十九連斬~

月も隠れし夜闇の底で。あなたは怪異に斬り苛まれる――
松岡真事
松岡真事

第二十六斬 『蝿捕蜘蛛』

公開日時: 2021年6月21日(月) 16:00
文字数:390

 ある夏の日。

 自分の部屋の畳の上に

 大人の握りこぶしくらいのハエトリグモがすわり込んでいるのを見つけて、

 一瞬いっしゅん脳がフリーズした。


 エッ、でかすぎない?

 これハエトリグモじゃないよ、

 ネズミだってれそうだ、

 ネズミトリグモだ・・・


 ってわけわかんないこと考えながら、えずスマホで撮影したんだけど。


 そのうち、

「こんなコトしてる場合じゃ無い。やっつけなきゃ」 って我に返って。


 殺虫剤取りに部屋を出て、

 帰って来たらもう居なくなってた。



 家族に話したら、

「どっかのペットの毒蜘蛛どくぐもが逃げ出したのかも」

「タランチュラかも」

 って大パニック。

 とにかく撮った現物げんぶつを見せてみろって言うもんで、再確認してみた。


 ――小さな流木りゅうぼくみたいなのが、

 畳の上に転がっている画像が映し出された。


 みんな一転、シラケ顔。


「どっから拾ってきた画像だ?」

「冗談も大概たいがいにしろ!」


 しかり飛ばされ、お開きに。



 私だけが納得いかない。

 部屋には結局

 何が居たの?

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