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異世界の写メをSNS投稿、いいねを集めて回したガチャから現れるユニットで無双する
御手々ぽんた
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第30話 リスティア=アレスター

公開日時: 2020年10月14日(水) 08:21
文字数:1,101

 二階に上がると、ちょうど眼光鋭いやせぎすの職員が歩いてくる。


「あっ、ガッソさん?」


「一人か? ガーリットはどうした。まあ、いい。こっらへ来い」


 そのまま歩き続けるガッソ。


──何かデジャブだ。


 私はそんな事を思いながらガッソについていく。

 何度か角を曲がる。どうやら医務室のような所に入っていくガッソ。

 奥のベッドには、リスティア=アレスターの姿があった。

 身綺麗になり、ベッドの上で身を起こし佇む姿はプリンセスの種族名に恥じない気品が感じられた。


 物音にこちらを向くリスティア。

 黄金に輝く瞳。意識のない時は冷たいとすら思えた美貌だったが、その瞳の持つ熱が、強い意思を感じさせる。


「その方達が僕をここまで運んで下さったのですね。ありがとう。僕は|牙狩族《きばかりぞく》族長サーザ=アレスターが娘。山海を司る神の口伝者リスティア=アレスター」


 こちらを見つめる黄金の瞳に圧されれるように私も名乗る。


「これはご丁寧に。私はクウ。こっちがノームのディガー、そしてゴブリンのディアナとショウです」


「クウは、神の御手に触れてるね。どちらの神の庇護を?」


「えっ? 庇護……ですか。ええと、投稿神です」


──庇護って、ステータスに載ってる投稿神の祝福のことだよな、多分。どうしてこの子はそんなことがわかるんだ? 簡易鑑定で見えた姫巫女ってスキルか何かの効果かな?


「さて、挨拶はそんなもんでいいだろ。リスティア殿、スタンピードが始まった。想定よりだいぶ早い。早すぎる。避難すらままならない状態だ。一刻の猶予もない」


「うん、投石の音だね。ここまで聞こえている。僕の準備はいいよ。クウには?」


「まだだ」


 そういって二人がこちらを向く。


「なんとなく、嫌な予感が……」と私。


「クウ、お前に指名依頼だ。依頼主はこちらのリスティア=アレスター殿。依頼内容は、この街の地下水道の奥にあるスタンピードの原因の排除。この依頼には、この街の命運もかかっている。どうか俺からも頼む」と頭を下げるガッソ。


「細かい話は、僕からするよ」と言って、リスティアが話し始めた。


 ◇◆◇


 私は現在、前にガチャで出た懐中電灯で足元を照らしながら、水音が響く地下道を進んでいる。リスティアの話を聞き、気がついたらこの状況。リスティアとガッソの二人の話術の巧みさに上手くのせられてしまった。


「まあ、これが撮れたから、いいけど」


 取り出したスマホには、リスティアが話しをしている映像。

 投稿アプリで撮影させてもらったものだ。今回の依頼の対価の一部として。もちろん、すぐに投稿しましたとも。

 今現在、信じられない勢いでその動画に、いいねがついている。

 あと少しで、10,000いいねを突破しそうだった。

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