謎肉の串焼きを食べ終わり、あと少しで冒険者ギルドというところで、急に立ち止まるガーリット。
「っ! 物陰に隠れろ、クウっ」と、ガーリットの叫び声が路地に響く。
私は思わず近くに転がっていた木箱の陰に、身を隠す。
ひゅーんという、やや高めの音が聞こえてくる。
串を握り締めながら、キョロキョロと辺りを見回す。
衝撃音。
背後を振り返ると、壁にいつの間にか穴が空いていた。
さらに、いくつもいくつも、音が響く。
ひゅーん。ひゅーんと。
その度に、街中のそこかしこから響き伝わってくる衝撃。
「ちっ、もう始まったかよ……」
「ガーリットさんっ、これ、なにっ!?」
「投石だっ。エントが石投げてんだよ。スタンピードだ。もう来やがった!」
「ええっ! 何か偵察とかしてなかったのっ」
私はガーリットに叫ぶように答えながらスマホを取り出し、ユニット編成で、とりあえずディガーとディアナ、ショウを呼び出す。
ついでにいいねの数を確認するが、ユニット限定ガチャにはまだまだ足りない。
魔法陣の光とともに現れるディガー達。
最初きょとんとした様子のディガーに、話しかける。
「攻撃されているんだっ。周囲の警戒をお願い!」
素早くサムズアップして、スコップを構えるディガー達。
「偵察依頼を受けた冒険者パーティー、帰ってきてないんだよ。急いで冒険者ギルドへ行くぞ、クウ」
と、さすがに焦りを見せるガーリット。
私はディガー達を連れ、駆け足で進み始めるガーリットのあとを追いかけ始めた。
投石の続くなか、何とか無事に冒険者ギルドへと到着する。
ガーリットはすぐに自分のパーティーの仲間と合流すると、冒険者ギルド員に呼ばれる。何か指示を受けている様子のガーリット達。すぐにギルド員は別のパーティーへと移動する。
ガーリットがこっちを向くと話しかけてくる。その間にもメンバーから渡された装備品を手早く身につけるガーリット。
「クウ、じゃあなっ! 俺たちはこのまま迎撃に出る。お前さんはギルドの二階に行ってくれ。ガッソの旦那がいるはずだ」
「ガーリットさん。お気をつけて……」
去り際に返事をする。後ろ姿のまま無言で片手をあげると、ガーリットはパーティーメンバーを引き連れ、慌ただしく出発していった。
ディガー達を連れ、混雑するギルドの中を進む。
何故か皆、こっちに気がつくと道を空けてくれる。
何でだろうと疑問に思いつつ、歩きやすいからいいかと、そのまま階段へ。
そして急ぎ二階へと向かった。
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