私がガチャを回し始めると、それまで表示されなかったガチャの説明文がスマホの画面に表示され始める。
と、同時に目の前の地面に、巨大な魔法陣が現れる。
その魔法陣から、ゆっくりとガチャマシーンが浮き上がってくる。
プラチナに輝く筐体。その中で回転するカプセルも、一つ一つが七色に輝き、全てがハイランクであることを見せつけてくる。
白銀の筐体の浮上が止まる。ゆうに、二階建ての家ぐらいの大きさのガチャマシーン。
しかし、実体はないのか、周囲の建物と重なる部分は透過しているようだ。
「な、なんだっ! なんて、神々しい。神の御技……」あんぐりと口を開けたガッソ。
しかし、私はそんなことよりも、スマホの画面に流れるテキストに目を奪われていた。
『ユニット限定プレミアムガチャ(UR確定)の発動を確認しました。
マスクドデータの開示を開始。
時空震へのアクセスを開始。
アクセス中……
アクセス中……
アクセス中……
接続を確立。
異界の選定を開始。
……選定終了。
強制異世界召喚を実行します。
オプションを発動
オプション:転移者隷属術式発動
術式の強制受理を確認
オプション:隷属存在への意思伝達回路の焼き付けを開始
完了を確認
オプション:転移者の存在のデータ変換を開始
完了を確認
全てのオプションの完了を確認。
ガチャを排出します』
「これは、もしかして異世界召喚なのか……」と呟く私の目の前に落ちてくるガチャカプセル。
その輝きは、URを表す虹色。
ガチャカプセルが開く。
そこには、少女の形をした炎が、いた。
スマホに表示されるリザルト画面。
レア度 アルティメットレア
属性 ユニット
名称 焔の民
ガチャマシーンが、まるで幻だったかのように、消えていく。
目の前で燃え盛り続ける少女。その放つ熱が、まるで暴力となって周囲に襲いかかる。
ちらっと見るとガッソがすでに建物のかげに避難している様子が見える。しかし、その建物も、表面からうっすらと煙が上がり始めている。
ジリジリと皮膚が焦げていくのがわかる。
私はカバンにとってあったポーション急いで取り出すと、口に含み、そのまま残りを体にかけてから燃え続ける少女へと向き直る。
「わ、私はクウ。早速で悪いんだけど、あっちにいる木のモンスターを倒して欲しいんだけど……」と、城壁の外を指差す私。
じっと無言でこちらを見ている少女。
炎で出来ている顔は、表情がわからず、何を考えているのかうかがい知れない。
無言の間が重たい。
体にかけたポーションが乾き始める。
突然だった。
軽く膝を曲げた少女が、目の前から消える。
熱風が巻き起こる。
顔を思わずかばった腕の隙間から、少女が城壁の向こう側へと、ひとっとびで向かう後ろ姿が見えた。
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