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~俺の妹が世界最強のPKでしかも超人気vtuberだった件~
鳴雷堂哲夫
鳴雷堂哲夫

ウェルカム・トゥ・ジャンクジェットシティ

公開日時: 2021年9月24日(金) 07:30
文字数:1,130

 視界が一瞬白く染まり、すぐに暗転する。


 気がつくとおれは、大きなプラットフォームのような薄暗い場所にいた。


 プラットフォームは側面のレールに沿って斜め上へと上昇し、どこかへおれを運んでいるようだ。


 公式サイトの情報によると、地下都市を追放されたプレイヤーは、一方通行のエレベーターに乗せられ、地上へと運ばれるらしい。


 そしてこのエレベーターは、はじまりの街「ジャンクジェットシティ」への直通便だということだ。


 耳に伝わるゴゥンゴゥンという騒音。


 サイドレールから飛び散るオレンジの火花。


 鼻腔をくすぐる鉄とグリスの匂い。


 プラットフォームの四方に設置された非常灯が回転し、オレンジ色の光が規則的におれを照らし出す。


 ゴーグル越しに伝わるそれらの感覚は、みなリアルかつ扇情的で、これから待つ未知の冒険への期待感を否が応にも高めてくれる。


 周囲を見渡すと、おれ以外にも何人かの人影が見える。

たぶん、おれより先にログインした新人プレイヤーだろう。



_ニャンラトテップがLOGINしました_


_レマットがLOGINしました_


_コードトーカーがLOGINしました_


_TA☆KE☆SHI☆がLOGINしました_


_夜兎浦がLOGINしました_



 画面左上に表示されるLOGIN表記の羅列。

広いプラットフォームが、ログインしてきたプレイヤーで、段々と埋め尽くされていく。


 タキシードを着たネコ頭の男、西部劇風の衣装をまとったカウガール、ライフルを背負った軍人めいた男、ガスマスクを被ったスキンヘッドのチンピラ、夜戦服を着たうさ耳の美少女…etc、 etc……。


 多種多様なコスチュームに身を包んだ胡乱な集団。

皆が皆、とても個性的な格好をしている。

あまりにも個性的すぎて、おれの格好が没個性的に見えるほどだ。


 やがてガゴォンという音と共に、振動を立ててプラットフォームが止まる。

どうやらここが終着点のようだ。


 目の前にあるのは重厚な鋼鉄製の扉。

プシューという音と共に圧縮蒸気が噴出し、扉のロックが解除されていく。


 オレンジ色の火花を散らしながら、扉がゆっくり上下に開いていく。

少しずつ開いていく扉の隙間から、眩い光が差し込み、暗闇に慣れたおれの目を苛む。


 やがて扉が全て開き、その奥に隠されたものが明るみになった。

しばらくして、光に慣れたおれの目の前には、壮大で退廃的な景色が広がっていた。



 煌びやかなネオン看板_



 火花を散らし飛行するドローン_



 路地に打ち捨てられた廃ロボット_



 コンクリート壁に、蔦のように食い込む配管_



 街の中央に屹立する、呪術的装飾が施されたスペースシャトルの残骸_



 ここは地下都市を追放された市民が建設した、廃材と退廃の街。




 ようこそ!ジャンクジェットシティへ‼︎




___ここは、あなたの冒険のはじまりの街





 続く


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