転生しても困らない!異世界にガイドブック持ち込みでとことん楽しむ

異世界 わりといい世界
しのだ
しのだ

フュ――――ジョン!

公開日時: 2022年2月13日(日) 18:18
文字数:2,085

 ゼンちゃんと戦った謎のきぐるみが残した魔力の残滓が自分のものだった。

 だとするならば可能性はただ一つ、コピーのあいつだけだ。

 あっという間に彼方に消えて行ってしまったが方角的に町に戻ったのは分かる。こちらも空間転移で急いで戻る。追跡が見つからないようにナナスキルを使い隠密SSSを取得しておく。


 カスケード家に続く道をルンルンで歩く猫のきぐるみが現れた。そのまま追跡して様子をうかがっていると、カスケード家の裏口付近でぐったりと倒れ動かなくなる。探索でコピーエーナが裏口に向かっていることが分かったのできぐるみを抱きかかえお迎えすることにした。扉が開いたので「ただいまー」と声をかけると焦った様子を必死に隠すようにおかえりを言ってくれたのだった。


「と、とりあえず部屋行く?」


「そうだね。誰かに見られると不味いから隠密使っとくね」


「そ、そうだね」


 約一週間ぶりの我が家。もっと間が空くと思っていたが意外と早めの一時帰宅となった。


「その猫のきぐるみ可愛いね」


「ありがと、これきぐるみみたいだけど中は綿だからただの大きいぬいぐるみなんだ」


「で、そのぬいぐるみで遊んでたわけか」


「へへへ……」


「思ったんだけど情報共有が必要だね。プラチナスライムは一応使役してるんだよね」


「あ、そうだったんだ。もしかしてナタの森で回収したやつ?」


「そうそうそれそれ」


「じゃあ味方と戦ってたわけか」


「そーなんだよ」


「情報共有必要だね」


「こうやって会話してもいいけど、すべて把握するのは難しいよね」


「分かる」


「記憶ごと共有するしかないか」


「どうするの?」


 ちょっと待ってと、取り出したのはガイドブック。ナナスキルのページにあるスキルを指す。


 ”フュージョン Cat0”

 ”指定した生物と生物を融合させます”


「これ使ってみようか」

「確かに一度元に戻すのもアリだね」


 特に一緒に声を合わせてポーズを取る必要も無くてもスキルは発動できるらしく、自分とコピーを指定しフュ―ジョンを使用する。無事成功し、一週間の屋敷での出来事が記憶として残っているのが分かる。しかしステータスを確認した時、異変に気づいた。


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 エーナ・カスケード 女 12歳 二倍少女


 LV1810 HP111956 MP253160

 STR 5164 VIT 17316 MND 55872

 SPD 1804 DEX 2960 INT 73022

 LUK 264


 スキル

 異世界言語A 空間収納A 鑑定眼A 隠蔽A 探索A 

 アブソーブS 探究B 剣術の心得F 盗みのいろはF 感知F 調教の心得A

 調教の達人 錬金術の心得A 錬金術の神髄 隠密SSS

 マリオネットSSS+ 千里眼SSS+ 裁縫の達人


 毒耐性D 麻痺耐性D 疲労耐性B 病耐性C 


 DEBUG MASTER


 属性魔法適性

 火、水、風、雷、聖、闇、空間、時間


 加護

 精霊の加護


 使役

 プラチナスライム(仮)


 アイテムボックス

 薬草40

 ドレス1

 メイド服1

 簡易地図1

 食パン1

 干し肉1

 寝袋1

 異世界ガイドブック 1

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 スキルの統合、耐性スキルのSLアップ、そして全ステータス値が二倍になっていた。ただ年齢が倍になっていなくて良かったと思う。


「あ、これ、いいのかな。ま、いいかーー」


 深く考えることをやめ、再びコピーエーナを作り出す。


「あー。融合するとステータスバグるみたいだけど、気にしない方向で。あと何かあるときは猫目亭で会いましょ。長居するといつラルンテが来るか分からないからこれで、じゃねー」


 窓から飛び降り、カスケード家を後にした。




 猫目亭に帰る途中にギルドによって薬草の買取をしてもらう。薬草を調合してポーションを薬屋に売った方が儲けは多いのだが、それだと冒険者としてもレート値が上がらず割のいい依頼を受けることができない。

 だから最初は地道に稼いでいくしかないのだ。でも自分にはゼンちゃんという頼もしい相棒のおかげで、ある程度ギルドに薬草を納めてもまだまだ空間収納には多くの薬草が残っている。これでレアなポーションを作って売ってみようと考えている。


「おっ帰りニャー!」


「ただいまミーニャ」


「おう、帰ったか。晩飯どうするすぐ食べるか?並べとくぞ」


「ジーンさんただいま。部屋に戻ったらスグ降りてくるからお願いします。それとミーニャ」


「何ニャ?」


「これお土産」


 ほいっと、小さな石を投げる


「わ、わ、わわぁああ。キラキラ石ニャー。綺麗にゃ!でもこれなんニャ?」


「んーなんだろ、薬草拾ってるとき見つけたんだ。もし気に入ったらあげるよ」


「キラキラ好きニャ!ありがとニャ!」


 記憶を頼りに作った疑似魔石。疑似的に作ったとはいえ、本物と見た目の遜色も性能にも差は無い。寧ろ本物よりより洗練され、安定してる言ってもいいかもしれない。

 ガイドブックには小さくても金貨10枚ほどの価値になるとあるがこれを市場に流すとどんな影響があるか分からないので金欠時の切り札にしておこう。ミーニャにあげた理由としてはチップ代わりと言うか日頃のお礼を込めている。


 今夜の夕飯も最高で、注文を追加しまくった。

 部屋に戻ってベットに横になると、充実してる感を味わいつつ、明日の予定を立てながら眠りについた。

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