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お金荒稼ぎ②

公開日時: 2022年2月23日(水) 18:18
文字数:2,220

 半額の魔力に吸い込まれるように、チェックインしてしまった。

 たとえ半額で提供しても、浮いたお金がカジノで消化されればどちらにしろ利益になるということだろう。


 ドレスも合いそうなものを見繕ってくれる。

 服を選ぶセンスが無いのでとても助かる…のだが。

 やっぱりと言うべきなのか、とても可愛らしいフリフリドレスを渡されてしまった。


「違うドレスはありませんか?」


 と伝えても、手渡されるのはフリフリドレスばかりだった。


 ここで時間を浪費する訳にはいかないので、妥協を羞恥心を捨てることで乗り切るしか無かった。


 ドレスを着て、ゼンちゃんを頭に乗せ入口まで行くと先ほどのドアマンがニコニコしてこちらを見ている。

 微笑ましいと感じてくれているのか、鴨ねぎだと思っているのか悟らせないプロの笑顔だ。


 ブルースカイの中に入ると煌びやか装飾と中央にドンと仁王立ちの創設者のブロンズ像。

 成金のおやじを彷彿させるそれは


(趣味がわるいなぁ~)


 ⦅**!*………*?⦆


(え?何に)


 ⦅**~**………*!⦆


(あれれ、何言ってるか分からないよ!)


 頭でプルプル揺れるゼンちゃんが何か伝えようとしてくれいるは分かるのだけど、全く理解できない。

 状況を確認しようと自分に鑑定を発動させようとするも途中で途切れてしまう。

 状態異常かと思い魔法で回復を試みるも魔法も何かに打ち消されるようで上手く発動できない。


(あーこれが!)


 ガイドブックの注意書きを思い出した。店内での魔法とスキルの使用を禁止しますと書いてある項目の意味はこれなのかと。

 強制的に発動を無効化されているのに気づいたのだ

 ゼンちゃんの念話も上手く使えないし、届く言葉も異世界言語スキルが無効化されているので理解ができない状況だ。


 そんな中、発動できるスキルが4つ、マリオネット・千里眼・アブソーブ・隠密だ。


 このスキルに共通するのはスキルレベルがS以上という事。


 それならばと思い発動させるナナスキル。

 当然のように発動したナナスキルで、異世界言語、空間収納、のスキルレベルの変更をした。ついでにゼンちゃんの念話スキルもSに変更。


 ギャンブルに直接関係してこないということで勘弁してもらおう。

 スキルと魔法を制限するとで公平に遊んでもらうって事なのだろうが、言葉の壁は辛いし

 お金取り出す必要があるのと、身の安全の為だ。


 ⦅お、やっと聞こえるようになったぞぉ⦆


(ここの空間だと魔法とスキルに制限がかかるみたい)


 ⦅なーんか変だなぁっと思ってたんだ。でも何で今はでぇじょーぶなんだ?⦆


(私とゼンちゃんの絆のおかげだよ)


 ⦅そっか!すげぇーな絆ってのは⦆


 うろうろと店内を歩いてみまわると、転生者が作っただけあって知っているゲームもあれば全く見たこともないゲームもある。


 せっかくなので体験したことのないゲームに挑戦してみようとマジックポーカーなるテーブルに座ることにした。そこには既に7人が座っていて最後の8人目となった。


「御着席ありがとうございます。こちらのテーブルを仕切らせていただきますディーラーのハートダインと申します」


 深々と頭を下げるが、目と目が合う。 


(うぁああ)


 頭部に付いている目がこちらを見ている。


「あら、お嬢様。蜘蛛人族(アネクラ)は初めてですか?」


「そうです。ごめんなさい、ちょっと驚いてしまって」


「全然気にしていませんよ。私は腕も多いし目も多いので、テーブル全体を把握できてこの仕事に向いてますの」



 4本の腕を器用に使い白紙のカードをプレイヤーの前にササッと配る


「ルールの確認が必要な方はいらっしゃいますか?」


 ハートダインがこちらを見ているような感じがしたが、大丈夫だ。

 このゲームのルールならガイドブックに載っていた。

 ディーラーが引く3枚のカードの合計に一番近い数字を持っている人が勝ちというもの。


 ディーラーがカードを引く山札には0から50までの数字のカードがあり、その山札3つから1枚づつ引いてくるといった具合だ。


 3枚一気見せるのでなく、1枚引いたらそれを表にしてベットやフォールドが無いか確認をしまた1枚引く流れとなり、掛け金で他のプレイヤーを蹴落とすが最大の醍醐味だ。


 袋から金貨を取り出すフリをして空間収納から金貨を取り出す。その数金貨50枚程。


 後から追加できないが、まずは試してみるところからだ。


 全員が最初の支払いである金貨1枚を出したところでがゲームスタート。


 配られた白紙のカードに魔力を込めるとそれに対応する数字が浮かび上がる。

 魔法は発動できないが魔力を流すことなら普通にできる。


 しかし、張りきったつもりはないのだがスグに最大の150の数字になってしまった。魔力の多い者にとってはかなり繊細な魔力操作が必要とされるのが魔術師に人気な理由なのかもしれない。


 ⦅なんで150なんだ?⦆


(ちょっと黙ってて)


 ⦅………。⦆


 最初のゲームはすぐにフォールドして降りた。

 最終的には92だった。降りて良かったと思う。


 不思議なことにフォールドするとカードが白紙に戻り魔力が自分に流れ込んでくるのが分かる。

 これなら魔力疲れなどにならいでずっと楽しめる。


 次は半分の数字に当たる75あたりを狙ってみるのだがそれでも150となってしまった。


 ⦅さっきと一緒⦆


(ちょっと黙ってて)


 ⦅………。⦆


 とりあえずディーラーの1枚目は見てみようとチェックするも、大きくベットした者がいて降りるしかない。


 こちらの焦りがまるわかりなのだろうか………?

 初心者なんて金づるでしかないのだろうか。

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