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家出チャレンジ②

公開日時: 2022年1月31日(月) 18:18
文字数:2,319

 エーナの家出は突拍子も無い事ではなく、こちらはこちらで計画されたものだ。

 部屋と裏門までは空間転移魔法で繋げ、いつでも、誰にも見つからずに出て行ける様にはしておいたのだ。


 ナタの森の位置や生息モンスターについても、書物を漁りある程度までは調べ上げていた。

 ヒラヒラドレスでは目立つし動きづらいので、まだメイド服の方がましと考えた。だがメイド服は盗むと即バレするのでギリギリまで準備できなかったので、家出前に何とか盗み出し着替えたのだった。


「まずは探索からっと」


 森の入り口で早速使ってみる。

 使用するとすぐにモンスターの位置や数、種族やレベルなど詳細な情報まで脳裏に表示され理解できる様になった。

 まるで視界が増えたかのようだ。距離は自分を中心に5000m程度までなら捕捉可能といったところ。

 歩き回れば森全体の大部分をカバーできるかもしれない。


「やっぱり家の周りと違ってモンスターが多いなー」


 家の周りにモンスターなどは滅多に出没することはない。試しに探索を使っても家の中にいる人を捕捉する程度だった。

 ここからは初めての試み。物を触らなくても収納出来る所までは試したので、あとは探索で得た情報だけでモンスターを指定して、空間収納できるかどうかだ。


「まずは手前のホーンラビットから」


 探索の中からホーンラビットの情報が消えると同時にアイテムボックス欄に【ホーンラビット1】と表示された。

 続いて、遠くにいるゴブリンで試す。やはり結果は同じく情報が消え【ゴブリン1】と表示される。


 更に空間収納内のホーンラビットの討伐を試みる。

 

 空間収納内の時間は止めてあるので、一応生きているが動くことは一切できない。そのモンスターのHPをスキルアブソーブで吸収し、0にする。 

 そうしたら、一度外に出してみて改めて鑑定。


(状態は戦闘不能か)


 そこから1分後、状態が死へと変化した。そこで初めて経験値を得ることができたのだ。

 HP0でも即死につがらない場合もあるのはガイドブックを読んで知っていたが、モンスターにも適用されていることは知らなかった。

 念のためゴブリンでも試してみたが結果は同じ。死体となったモンスターも討伐を証明するため収納しておくことにした。


(いちいち取り出して、また収納するのはめんどうだな。ボックス内で時間経過させとくか)


 最初は時間停止を使わず、収納したら即座にHPを吸収し、戦闘不能にさせ死へと誘う。経験値が入ったらまた時間停止させてモンスターを保管する作戦へと切り替えた。


 効率的かつ安全に遠距離からの収納そして討伐。これは戦闘と呼べるものなのかわからないが、経験値が入る。一応スキルを使っているので戦闘になるのかもしれない。


 探索範囲のモンスターを全て収納したら暫く歩いて探し回る。中級モンスターもいると聞いていたのだが、いちいち鑑定するのも面倒なので片っ端から収納することにした。


 最初の探索で収納されたモンスターは

【ホーンラビット23】

【ゴブリン32】

【ドスボア20】

【ビッグベア2】

【ホワイトウルフ13】

【エンシェントディア3】

【キラービー17】

【ポイズンスパイダー11】

【ジャイアントトード5】

【カモフラージュプラント8】

【グリーンスライム50】

【ビッグスライム2】

【オーク10】

【ロックゴーレム1】

【レッドトータス2】

【ポイズンスネーク10】

【レッドバード5】

【ブラックバード12】

と200体以上にのぼるが、空間収納にはまだまだ余裕で入る感じだ。


 昼を過ぎた頃、探索範囲の後方に人の情報が入ってくる。

冒険者達が一定の距離置いて横一列で進んでいるのがわかった。


「何かを探してる?あ、そうか家出したんだった」


 モンスターに夢中なり、家出していた事をすっかり忘れていた。

 スキルの探索範囲でエーナに勝てる者は少ない。どんなに探したところで相手のスキルの範囲外にいれば補足はされない。


「まだ強そうなモンスターゲット出来てないから、ごめんねー」


 捜索から逃れるため、ついでに強そうなモンスターを見つけるためスピードを上げどんどん森の奥に入っていく。


 収納内のモンスターが10000を超えた辺りで森を抜けてしまった。

 そこは地平線まで何も無いティニャック平原。更にその先が国境となる。

 

 国境を越えるつもりもないので、ここでキャンプの準備をする事にした。

 ちょうど地平線に夕日がしずみ、平原が山吹色に輝く。異世界での初外出、初モンスターに、初1人キャンプ、黄昏ながら


(やっぱまだまだ世界は広いな)


 なんて思ってみる。


 キャンプでも生活魔法が活躍してくれる。焚火の確保も簡単だし、川を探さなくても水は用意できる。

食糧は一応持ってきたけど、森の中でとれた木の実やキノコなどの食材と意外と美味しいとされるホーンラビットの肉をいただく事にした。


 ナイフなどは無いけど、スキルや魔法を応用させれば料理だって出来ると思っていたので早速実践する。


 木の実やキノコは水で洗い、キノコは一口サイズにエアカッターでカット、胡椒の代わりになりそうな木のみは石ですり潰しておく。

ホーンラビットは頭部、皮、血液、内蔵、骨をそれぞれ指定してアブソーブで吸収、残った肉にすり潰した木のみをまぶし、キノコと一緒に大きな葉で包む。


 地面に穴を開けたら、焚火で焼かれた焼き石を敷き詰め、包みを入れたらまた焼き石をかぶせ天然のオーブンの完成。

あとは一番星とマジックアワーのグラデーションの空に懐かしさを感じながら待つだけ。


「おおっ、いい匂いする!」


 肉に火が通り一帯が香ばしい匂いで溢れる。

 それを堪能してると、脳裏に浮かぶ


【探索をレジストされました】


 の情報に気づいた。何度か表示されていた見たいだけど料理に夢中で見落としてしまっていた。

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