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エーナの世界①

公開日時: 2022年3月4日(金) 18:18
文字数:2,450

 美味しい夕食のおかげでお腹も心も満たされ、広いベットの上でゴロゴロしていたのだが、暇すぎたので自分のステータスを何となくに見ていた。


(このステータスって世界でどれくらいの順位なんだろう)


 なんて思いながら目を進めていると空間収納に気になるアイテムが増えていた。


『エーナのコピー』


 入れた覚えは無いのでおそらく、実家に残っているコピーエーナがスキルを使い、更に自分のコピーを作ったのだろう。それを空間収納内に入れたのだろうが何のために?


 確認するために、ちょっとだけ空間収納内に入ってみることにした。


 入るなりコピーに話しかけられる。


「記憶統合の為にフュージョンをしてほしい」


「あ、はいはい」


 フュージョンをするとエーナの記憶が統合され思い出になる。周りに気づかれず上手くやっているみたいだった。唯一気にかけているのはラルンテぐらいだ。自由度が自分に比べて低い分、色々考えていることも伝わって来る。


 その中でもこの、広大な空間収納の活用についても考えていたようで、


(コピーエーナのくせにやるな)


 と関心しつつも、早速自分が試してみることにした。


 まずは、疑似生命生成SL.SSSを習得。出来上がりの見た目は美女に賢者を足した感じ。好みが盛り込まれてることは否定できない。名前はタイムと名づける


 オリジナルスキル”マスタークロック”を創作しタイムに付与させ発動してもらう。


 何をしたかというと、空間収納内の時間を調整する役割をしてもらうことにしたのだ。


 一番問題だった、中に入って外に出ると時間がかなり進んでしまう事態を無くすこと。更に常時にスキルを発動させ様々な時間の流れを管理してらう事で、活躍を期待できる。


 今までやっていた空間を指定して時間を止めること。これによって中に入れたものが腐らなかったり、熱の変動も止めたりしていたのだが、これが最適化される。収納物の管理を任せられるので、ポイと投げ込むだけで良い。


 それにこれから先、空間収納を有効活用するうえで部分的に時間を止めたり、進ませたり、戻したり、自分がそれを意識しなくてもいいようになるので大いに助かるのは間違いない。


「タイム、ここの管理はよろしくね」


「かしこまりました。それと何とお呼びすればよろしいでしょうか?」


「ケーナでいいよ」


「かしこまりました。ケーナ様、とお呼びいたします」


 マトンもそうだったが、疑似生命体とやらは何とも礼儀正しいのだなと。このスキルの特徴なのかもしれない。


 そしてそして、大事業になるであろうことが1つ。

 この広大な収納空間を活用方法としてここに近代国家を作るプロジェクトを立ち上げる。

 その名もエデンプロジェクト。


 発案者はコピーエーナだが、コピーエーナには絶対の愛情で見守る者ラ ル ン テがいるので中々空間収納内に来れかったのであろう。だから、自分が始めさせてもらう。

 コピーエーナは外の人を引き込むつもりであったようだが、それを最初からすると誘拐になってしまうので、まずは実験がてらタイム1人から始めようと思う。


 要はこの収納空間内で生活してもらうのだ。


 サポート役にコピーエーナを用意。

 主な役割としてはお手伝いだが、おまけで実家のコピーエーナとの記憶共有役だ。空間収納が共有できているので、収納リストの変化に気づけばラルンテの隙をついてどうにかして入ってきてくれるだろう。



 これこらタイムに「ここで生きて」と言っても、ゼロからはさすがに厳しいと思い最初の土台を作る。


「よしっ!」


 と、気合を入れ、アブソーブで溜め込んだ魔力を解放させ、DEBUG MASTERを発動させナナスキルも全て使えるようにしていく。

 慣れない土の魔法と水の魔法を使い、ある程度の地面や湖の生成。ナナスキルの”地形変化”も使い隆起させたり沈下させたりして、それっぽくしてみた。


 気が付くとMPが一気に200万も消費してしまい魔力切れの事も考慮してこれぐらいにしておく。そもそも無駄に地下1000mまで地層を作ったせいかもしれない。


「ちょっとやりすぎたな」


「お見事ですケーナ様。まるで神のような所業に驚きを隠せません」


「えへへへ。そんな事よりも木とか家とかも必要だよね。木を創りたいけど植物魔法は使えないから、とりあえず家を造るか」


 今度はナナスキルの”クラフト”を使い猫目亭をイメージ。一瞬で目の前に家が出てきた。

 内装のそのままの状態なので家具やら食器やらもあるのは驚いた。


「まさかこんなことまできるなんて。スキルも使ってみないと分からないことあるね」


「タイムの為に誠に感謝いたします」


「家の中の物は全部タイムの物だから自由に使ってね」


「有難く頂戴いたします」


「あとは環境だよねぇーー」


 動物も欲しいが、まずは植物かなと考えるも、植物魔法でも元々の植物がない場所では意味が無いし、ナナスキルのアイテム制作で植物の種を創造するのは可能だが、それを撒いていては時間がかかる。


 そこでナナスキルの中でも一番最後のスキル


 ”マインドプロンプト” 

 細かい調整を行う際に使用します


 説明文を読んでなお説明が欲しくなるスキルだ。

 とりあえず使ってみる。


《何をなさいますか?》


 突然頭の中に声が響く。まるで念話。


(草をこうバーーーっと生やしたい)


《範囲はどうなさいますか?》


(えっと…見えてる範囲にいい感じに)


《種類はどうなさいますか?》


(えーーーっと、適当に30種類ぐらい?混ぜてもらって)


《……環境変更準備が整いました。実行しますか?》

(実行して)


 その瞬間に目前に広がる緑の植物。


(超便利!)


 同じ要領で、森や空まで創りそこに生息する生き物たちまで創りこんでいった。タイムに時間をちょっと進めてもらうと、ちゃんと日が沈み月が昇る。ここまで再現されるとは思っていなかったので正直驚いた。


 魔法なんて最初から要らなかったのでは?と思わせるぐらい万能なスキルだと思うと同時にこのスキルは何でもできてしまいそうな気がして一番危険なスキルだとも感じた。


 最終的に空間収納内はとある一つの世界と言えるほどの環境にまで整ってしまった。

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