拓也とは仲良しグループの一人なのだけど、向こうから話しかけてくることがないのと、音楽の話題もほとんど関係がないからほとんど話していない。
「うん、居ないかな……」
俺はとりあえずひなの話しに合わせた。
「まだ、拓也がすき?」
「そんな事はないよ! 今は音楽だけでいいかな」
「そっか、まーちゃんはひなが好きだもんね! ジュンさんとかに目移りしてるかと思ってたよ……」
ひなは嬉しそうに言った。
拓也とのバックグランドが気になるところだけど、拓也の反応的に、告白とかはしたのかな?
「ひなは、どうなの? 」
そう聞くと、ひなは少ししたを向いて俺の隣に座り黙った。
「ひな? どうしたの?」
「……あたしはまーちゃんといたい」
ひなは顔を上げて、
「今が幸せだよ? まーちゃんの隣にいつもいれるし……」
俺は、前から聞きたかったんだけど、勇気が無くて聞けなかった事を聞いた。
「ひなは、ドラムは好き?」
「好きだよ……上手く叩けると、まーちゃんが喜んでくれるし、一緒に音楽も作れるし」
一緒に作れるが理由に入っていてちょっとホッとしたけど、やっぱり俺がドラムを好きな基準なのが気になった。
ひなは軽く抱きつくと、俺の胸に頭を押し付けて言った。
「もう、どこにも行かないで……」
「ひな……どこにもいかないよ……だけど、音楽にも向き合って欲しい」
「音楽に向き合って?」
「今後は、3人で力を合わせて挑戦していかないといけない。ステージングで見せたような、ひなの力が必要なんだよ……」
「あたしの力が?」
「そう、わたしはひなが天才だと思う……」
「あたしが天才? そんな事……」
「気づいてないかもだけど、それは間違いないと思うよ」
ひなは抱きついたままの手に力を入れた。
「まーちゃんにはあたしが必要?」
「うん」
「まーちゃん大好き!」
そう言ってひなに押し倒された。
うすうす思ってたけど、結構ひなはヤバい子なんじゃないだろうか?
でも嬉しそうな顔のひなが可愛いくて、いつものひなのシャンプーの香りが心地よかった。
「そうだ、ひな? 曲を作ってみない?」
「曲? でもあたしドラムだし……」
「エレクトーンで作っでもいい、それを元にわたしがアレンジするから!」
「エレクトーンでいいなら、多分作れるとおもう……」
「決まり! みんなで曲を作っていこうよ!」
「まーちゃんがアレンジするなら安心だね!」
気づくと結構時間が経っていて、ひなは今日も泊まる事になった。
「あーっ! もうこんな時間に……ちょっとお家に電話するね……」
そう言ってひなは家に電話をかけた。
「…………うん、だから今日まーちゃんの家に泊まってくるね!」
あれ?泊まるの? 今日お泊りの準備してないような……
「まーちゃん、今日着替え持ってきてないから借りてもいい?」
「うん、別にいいけど……? 制服とかは?」
「明日朝着替えにかえるよ!」
その日は、ちょっと"マスたん"のメンテをしたかったので、ひなに先にお風呂に行ってもらうことにした。
少し残念そうなひなを見送り、俺は"マスたん"のメンテをする。
出来れば両方のギターを使いたいのだけど、運ぶのが大変だな……安いキャリーでも買おうかな……。
俺は各部分の掃除と弦を交換したあたりでひなが戻ってきた。
ひなは俺のTシャツと短パンを履いて、ベッドに寝転がった。
俺も風呂から上がると、ひなは、例の本を読み、ベッドのそばに俺のブラが……あれ? 出したっけ?
「ひな? ブラだした?」
「まーちゃんのキツくて……」
ひな、何読んでんの? というか下着も借りたのかよ! まぁ、借りるか……借りるのか?
「キツイだと??」
まぁ、でも、以前一緒に測った時はカップもアンダーも俺の方がワンサイズ小さかったしな……。
「まーちゃんが細すぎるんだよ! 5cmくらい身長差あるのにあたしより軽いでしょ?」
「軽いのかな?」
「まーちゃん細いよ!」
そう言ってひなはいつものように抱きついた。
その晩、俺はノーブラで抱きついて寝るひなが気になりあんまり寝れなかった。
♦︎
次の日、制服に着替えるため、ひなは朝早くに一旦家に帰った。
今日は作曲の事をかなにも相談して、合宿までにそれぞれ準備しようと思う。11曲も、印税問題も解決していいんじゃないかな?
そう思っていた矢先、全然頭になかった問題が舞い込んできた。
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