"きっかけが見つかった"
タキオからの手紙には、その一言だけが記されていた。
まさか、転生のきっかけ?
俺は急いでタキオに電話をかけた。
プルルルル、プルルルル
電話に出たみたいだが、電話の後ろで何やら話し声が聞こえる。
「あ、まひるさん? 手紙読んだんですか?」
「はい、あれだけじゃ何がなんだか……」
「家に居る時にかけてもらいたくて」
「今、家には居ますけど……」
「僕らの共通点と、きっかけになりそうなものを見つけたんです」
「本当ですか?」
「僕らは2人とも、何かに特化してるんです、僕はデザイン、まひるさんはギター」
「そんな事は最初からわかってますよね?」
「タキオは元々、デザインする事に憧れて居たんです……」
「そしたら、まひるちゃんもミュージシャンに憧れていたと?」
「それは、僕も最初考えました。 でもそれならあなたじゃなく、プロのミュージシャンになるはずですよね?」
「確かに、あえて売れても居ないわたしになるはずはない……でもなんでプロじゃ無いと?」
「あはは、あなたの今の行動を見てたら分かりますよ! 貴方はギターが上手いだけだった……いや、他にも何かあるはずなんです」
「他にも?」
「そう、あなたじゃなくてはならない理由が有ると思います」
「なるほど、それでわたしは何を?」
「その理由を探すのと、そうですねまだなんとも言えないのですが、前後の不思議な点を探して欲しいんです」
「とりあえず持ち物を見てみます、だけど、不思議な点?」
「そのもし何か不思議な点があったら、それがきっかけかもしれません……例えば神社など神的な物や魔術書とか? 非現実な世界に関係がありそうなものですかね?」
「魔術書って、あはは。タキオさんらしくないですね」
「でも、これは紛れもなく、非現実ですからね……僕はそんなチートは認めたくない」
タキオはそういうと、電話を切った。
そっか、まひるちゃんは何に憧れてたんだろう? 今まで目の前の事に夢中で、最初以外はほとんど気にしてなかったな……。
俺は部屋の中で、何かタキオの言っていたことにつながる物がないかを探してみる事にした。
人のプライベートを詮索するのはあんまり好きじゃないんだけど、この際仕方がない。
俺はそれから本棚や引き出しなど漁ってみると、きっかけになりそうなものは……
・小学校の卒業文集
・音楽雑誌
・怪しいカバー付きの本
・お友達ノート
この四つか……
まず夢とかあるなら卒業文集だろう。
えっと、なになに……
わたしの大切なものは友達です……
これはひなやかなの事だろう。
友達と一緒にお店がしたい……
いやいや、ギター少しも出てこないじゃねーか!
おっ?かなやひなのもある。
かなはおばあちゃんの事か……おばあちゃん子だしな、ひなは……ナ、ナイフを持つこと? 話は深いけどちょっとヤバい子じゃん。
次だ次!
次は音楽雑誌、ギターとかに興味があるなら何か印があるはず!
……ジョニーズのページに折り目……
3ページ後にブライアンセッツァー来日の記事があるだろうが!折り目はここだろ!
ギターじゃないのかな……次、次!
怪しいカバー付きの本!
パタッ
見なかった事にしよう。
これは物凄くプライベートだ。
中1とかであんなの見るのかよ……
最後はお友達ノート……
卒業式で交換して書くやつだな。
あれ? この時は拓也と結構仲が良さそうだな。まぁ同じグループだし時期的なものか?
うーん、手がかりになりそうな物は特に無いな。
ふと目をやったその先には、イス。
いや、そこじゃ無い。
イスに引き出しが付いてる……
ゴクリ……
少し鏡を見る。うん、今日も可愛い。
俺はその引き出しを開けた。
あ……あった。
魔術書……じゃなくて鍵付きの日記帳。
鍵はどこだ?
うーん、すまん! 壊す!
俺はギターケースから弦を切るニッパーを取り出して鍵を壊した。
日記にはひなやかなとの出来事、他にも出かけた時の気持ちがつづられている。
読んでいくうちに俺は涙が溢れてきて、俺は日記の内容の違和感に気づいた。
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