入学して数日が過ぎ、クラスの子達と少し打ち解け始めた。
俺達は由美と六花を合わせてグループみたいになっていた。
「ねぇねぇまひまひ、今日仮入部行かないでっす?」
由美はなぜかジュンさんと同じあだ名で呼ぶ。さてはヒロタカさん家で呼んでるな?
「いいよ? 5人で行く?」
「じゃあ由美は六花に声かけときまっす!」
ところで六花も軽音に入るのだろうか?
どちらかといえば家で本読んでそうなタイプなんだけど……。
そんな中、ひなとかなは高校でブレイクした。"ハンパテ★"としてではなく、個人として……
「いやー、悪いなぁ! うちモッテモテやわ」
「あたしは話しかけられても、何しゃべったらいいかわからないよー」
あれ? 別にいいんだけど、俺はなんでモッテモテにならないんだろう? ポテンシャルはあるはずなんだけどなー。
「モテ子とモテなは今日仮入部いく?」
「もちろんいくで!」
「何? まーちゃん嫉妬? でも、まーちゃんも人気あるみたいだよ? 男子に当たりがキツいけどそれがいいって……」
ん? 当たりがキツい? そんなつもりは無いけどなぁ……。後半は聞かなかった事にしよう。
「そんな事は無いと思うんだけどなぁ」
「まあまあ、この人気を使って上手い事ライブにきてくれへんかなー?」
そういったかなが頼もしく思えた。
♦︎
放課後5人で軽音部のある第2音楽室に来た。
部員は7名の先輩達が居る。
「いらっしゃい! 部長の永田です! 今年は可愛い女の子がこんなに早く5人も! 是非是非練習見て行ってよ!」
部員は男子3人女子4人そんなに多くは無いみたいだった。ギター3人、ドラムとベースが1人づつ、あとはトランペットとサックスか……。
バンドとしてはツインボーカルのスカスタイルになる訳か。
「良かったら部の備品の楽器があるから気軽に触ってね!」
「はい! ギター貸して欲しいでっす」
「お!? 経験者かい? 是非是非ひいちゃって!」
ここで、由美のギターが見れる? 部長はギターを持つと、得意げに弾く。文化祭やイベントにも出る様な軽音部、転生以来久し振りに頭によぎった。
普通だ……。
曲にはちゃんとなってミスもそんなに無い。軽音部ならしっかり弾けている方だろう。
ただ……今回ばかりは申し訳ない。
そう思っていると、由美はテレキャスターを手に取って弾き始めた。
そう、俺達の曲ファストファッション……の簡単バージョン。
「ちょ、その曲……」
「あはは……牧野さんだったっけ? 上手いね……」
部長は苦笑いを浮かべた。
「兄がインディーズバンドでギターやってて、結構練習したんでっす!」
そりゃその曲はスタートがタッピング。
初めて会った時のヒロタカさんくらい弾けるんじゃないか??
「もしかして5人仲良しって事は……みんなこれくらい弾ける感じなんですか?」
部長はもう敬語になっていた。
「いやいや! まひるさん達はこんなレベルじゃないでっす! 由美はまだまだへっぽこでっす!」
頼む、俺に振らないでくれ……
「あ、そうなんだー。 うん、軽音部のレベルが上がって嬉しいよ……あはは」
「すごーい! 木下さん弾いてみて!」
サックスの田中先輩だ。試奏を聞いていたけど、多分中学校でも吹奏楽とかしていたんだろう。
まぁ、隠しても仕方ない。
俺は色々弾いて見せると、部長は最初小さくなっていたが徐々に憧れの目になる。
「木下さん、俺にギターを教えて下さい!」
「え、あ、いいですけど……?」
こうして、不思議な感じで軽音部の先輩達とうちとけ、俺達は入部を決めた。
なんか、音楽室で弾くのって新鮮でいいな。
学校でギターなんて、転生前も文化祭くらいしかなかったから俺は内心ワクワクした。
♦︎
帰り道、俺は教室に1人で鞄を取りに戻る。
ついついテンションを上げて忘れてしまった。
教室に戻ると、他のクラスの男子含め3人が話している。俺は気にせずバッグを取ると何故か囲まれてしまった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!