俺の音楽ここにあります

ギタリストのTS転生ストーリー
竹野こきのこ
竹野こきのこ

自主企画イベント①

公開日時: 2021年2月7日(日) 00:03
文字数:2,178

 イベントの日、俺はタキオのアドバイス通りに、自分達の白いバンドTを着て黒いパーカーを着る。


 もちろん、黒のネイルも忘れずに塗った。

 だが、ギター二つにバック……まひるの身体には重すぎる。


 死にそうになりながら、ライブハウスに着くと既にスターリンが準備していた。


「あ、まひるさんおはよっす!」

「おはようございます!」


「物販この机なんで、並べちゃってください!  あとフライヤーあとで折るの手伝ってもらっていいですか??」


「はーい!」

 俺は、機材とバックを置いて、物販を並べる、缶バッジとCD、2枚しかないTシャツも並べて置いた。


 ひなとかなも着き、"ドリッパーズ"と"サカナ"そして西田さんも到着した。


 機材を置いたタイミングを見ると、ヒロタカさんが声を掛けた。


「集合してください!」


 各バンドそれぞれ集まる。

「おはようございます!   本日は皆様、イベントに出演ありがとうございます!」


「ヒロタカ堅いぞ!」

 ジュンさんがヤジを飛ばす。


「おかげで、現時点でチケットは約420枚キャパには少し足りませんが9割以上とりあえず来て頂けそうです……」


 420枚か……本当なら余裕のはずのメンバーなんだけど、必死で集めて9割。集客を舐めてた報いを受けた気がした。


 その後、スケジュールやフライヤーなど流れをヒロタカさんは説明し、一旦解散。


「ハンパテ!  でいいんだよね?  久しぶり!」

 時子さんが声を掛けてくれる。


「集客大変だったんだって?」

「はい、ちょっと動き出すのが遅かったですね!」

「まぁ……今日、西田さん来てるでしょ?  今後は相談するといいわよ!」

  

 そう言うと、時子さんは少し渋い顔になり。

「イベント、出演バンド濃いわね……」

「それ、主にジュンさんじゃ?」


「わたし達あんまりパンク、コア系のバンドと対バンしないからねぇ。  両方気軽に出れるのは"ハンパテ★"の強みね!」


「時子姐さんテレキャスターすね!  テレキャスターは……」


 時子さんはジュンさんに捕まった。

 俺は物販ブースに戻ると、かながいる。


「まーちゃん、うちら1番になったん?」

「そうなの?」

「さっき雅人が、4バンドになっちゃってごめんみたいな事言ってたで?」


 キャンセルでてたのか……。

 伝達が上手くできてないのも課題だな。


「それはそうと、なんか今日のまーちゃん邪悪やね!」

「うん、タキオさんがサイトの感じに合わせてくれって!」

「そうなんや、でもカッコええとおもうで」

 そう言ってかなは肩をたたいた。


 リハが始まり、逆リハで進む。

 "スターリン"がかなり成長している、前までは気持ち重視のパンクな要素が強かったのだが、音がまとまりしっかりとしたバンドになっている。


 "ドリッパーズ"のリハには、オリジナルと、スリップノットをする為に俺も参加する。


「あれ?  まひるちゃんもでるの?」

「アキさん、そうなんです!  一応コラボする感じになってます!」

「それであの派手なケースを持って来てたのね!」


 電気が消える、ステージに行く、ストロボがつく、カウントでスタート……よし。


「ヒロタカ、スクリーム入ったらダイブしろ!」

「ダ、ダイブっすか?」

「もちろんつまり具合見てでいいけど、」

「戻ってこれなかったら?」

「ジュンが歌う!」

 ヒロタカさんはジュンさんを見る。


「俺はいつでもOK!OK!」

「まひちゃんは空いてる所に移動して行って!」

「5人なのをしっかり出して行こう!」


 暴れて練習していたせいか、リハでいきなり決まっても、なんとなく動きが分かる……まさか意図して?


「あと、コラボしたオリジナルは俺乱入するから!」

「乱入?」

「ジュン5に任せときな!」


 いやいや、それスリップノットじゃなくてマリリンマンソンの昔のギターじゃん!


 ジュンさんのアドリブとか邪魔すぎる……。

 "ドリッパーズ"のリハが終わり、俺はそのまま"マスたん"に持ち替えた。



 ♦︎



 ここで初めて、俺たちは完成した新曲を披露する事になる。


 演奏を始めると、フロアが静まり返る……


 今まで話をして居た、3つのバンドのメンバーがこちらを見た……。


 曲がおわると、ステージの前の柵にジュンさんが来るのが見えた……


「まひちゃん!  君らメンバーもすげぇ!」「…ジュンさん!  リハ中なんです…」

「特にドラム!  マジでヤバイ!  あっ!  おっと失礼!」


 たしかに最近のひなの成長はヤバイ……

 俺が思ってるより外から聴くとヤバイのかもしれないな……


 かなもかなり成長しているんだけど、ベースの特性上グルーヴが凄い繊細なかなはベースが好きな人くらいしか反応しないだろうな……。


「なぁ、まひるは高速系の2ビートの曲つくらないのか??  あの子らならでできるだろ?」


「多分出来ると思う……」


「俺らとやってるオリジナル聴く限り、そう言う持ち曲が1曲あってもいいとおもうぜ?  そうだなぁ女の子版のRufioみたいになるんじゃないか?」


「Rufioって!  ひながムキムキになったらどうするの!」


「大丈夫!  女の子はマッチョにならない!  ビルダーとかはかなり無理矢理してあれだから大丈夫!  そしたら"キラの助"の出番だな!」


 西海岸寄りの曲はあるけど、ギターの特性上そこまで振り切ってはいない。売りの一つとしては検討する内容だよな。


 確かに"キラの助"を使えば……だがアルバムにした時に流れを考えないと、浮くことも視野に入れないと……


 そして、ライブハウスがオープンしたのだが……あれ?


 あんまり入っていない……

◯用語補足


・マリリンマンソン

アメリカの説明しようとするとマリリンマンソンだらけになるバンド。色々な方向への影響力が絶大なバンド。


・Rufio

かなり西海岸よりのメタルバンド。聞いたこと無い人はギターを一度聞いてみて欲しい。

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