色の心理学について続けて書いていこうと思います。さて今回はどのような話になるでしょうか? 作者もわかりません。なにせぶっつけ本番で書いてますから。
今回も例によって『山脇恵子』氏著作『色彩心理のすべてがわかる本』を元に独自の知識や解釈を交えて書いていこうと思います。一言で色に関する心理学だよと申し上げても、実は多様な分岐が存在するのです。それはジャンル的な意味ではなく、例えばある色に対するイメージ……以前紹介した『赤』などはどの国や地方でも太陽、血、果実などが存在しますのでほぼ共通的に『生・死』などのイメージがありますが、人の目は『赤・緑・青』の光の3原色から幅広い色を実現しますので、それぞれの色に世界共通の認識というのはそうそう存在しないものです。原色の緑や青ならまだしも、例えば茶色などはヨーロッパではそもそも『色』として認識されなかったような時代もあったようです。緑ですら、アメリカではあまりよろしくないイメージも存在する――ホラー映画の怪物なんかはよく緑色の目で表現されてますね――など、古くからの人間の生活に直結しない色に関しては、その地方の暮らしや文化の影響をモロに受けています。ですので、色の心理学を語る場合は、例えば日本限定にするとか、国際標準のイメージではどうなのかといった指標が必要になるようですね。まあ国際標準ってなんだよというツッコミがはいるでしょうが……。
色の心理学
色彩心理はジャンルとしては『基礎心理学』に該当します。コレに関しては別のサイトになるのですが、マグネットマクロリンクの『つれづれグサッ』の『現代の心の科学』で紹介しているのでぜひご参考ください。おおまかに『基礎と応用』がありまして、基礎が心理研究。応用はそれで解ったことをどう活かすか、という学問と認識してください。色彩は光を『知覚』することで生まれる『認知』です。赤緑青の信号の強さを分析した結果が脳に送られ色として認識されます。人類ははじめから色にたいする心理をもっているわけでなく、住んでいる環境や成長するまでの経験、親からの教えなどで色に対する印象を変えていくようです。それは世界各地の教えなどがあるので千差万別あるかもしれませんが、ある一定の指標になりうる研究ももちろん存在します。
色に対する心理調査として『セマンティック・ディファレンシャル(DS)法』というものがあります。ある色に対しどのような『イメージ』をもっているのか。例えば「明るい・暗い」、「熱い・冷たい」、「重い・軽い」などですね。それによると、少なくともアメリカ、台湾、日本の3国においてはそれぞれの色のイメージはだいたい共通しているようです。1994年のデータなので少し古いですが、例えば『赤』に対する「派手・地味」のイメージはどの国もとても派手よりになり、「強い・弱い」も3国共通して強いイメージに傾きました。『青』は地味の傾向があり、赤より若干弱めな印象があるもののおおむね強く、ふたつの色を隔てる大きな差が生まれたデータは「熱い・冷たい」のデータです。言わなくともわかるでしょう?
これは、赤が太陽や炎。青が水などを象徴している理由が考えられます。もし、赤ん坊が赤や青を見ないまま成長し、大人になってこれらの色を見た場合どのようなイメージをもつのか? そのような研究はまだありません、というか倫理的に不可能でしょうが、おそらくただの色としてのイメージしかもたないでしょう。遺伝子に組み込まれているのは認識としての色であり、確かに『赤』や『緑』など、本能に根ざした色は存在するでしょうが、色に関する心理的印象は成長過程において生まれるのではないかと私は考えています。より考察を深めるのならば、フロイトの無意識を初めとした『深層心理学』に考えを巡らせることもできますし、子供がピンク色が好きな母親に影響される『発達心理学』に食指を伸ばす選択肢もあります。アナタはどのような『色』がすきですか? また、その『色』を好きになったのはいつごろ、どのようなきっかけからですか? 子どものころのアナタはどのような『色』がすきでしたか? それは親に聞かれた時に浮かんだいろですか? それとも自らその『色』を選択したのですか?
色の心理学を活かして自分を知る
直前になんだか語りかけて質問を重ねて混乱させるようなことをしてしまいましたね。しかし自分の心に問いかけるのはとても意味のあること。自分が心に対してどのような『色』を抱えているのか気になる場合は、色を使って自分の心を覗き込んで見るのが良いでしょう。
絵を描くことも、実は心理的療法なのです。どのような色を用いて描くのか、どのような絵を描くのか、そもそもなぜ絵を描くのか。そういった問いかけに答えを見出すためには絵を描き続けることが一番でしょう。文房具に立ち寄って色鉛筆、絵の具などを購入し思い思いの絵を描いてみてはいかがでしょうか? 最近は大人の塗り絵なんてものもあるそうです。指定された色を塗るでも善し、自分でこの色を塗ると決めるもよし、例えばネコだからといって必ず白やら黒やら茶色やらを用意しなくとも良いのです。ピンクに塗ってみたり青に塗り込んでみたり、はたまたマーブリング、虹色なんてカラフルにしても良いでしょう。とにかくアナタが心に浮かんだままに描いてみてください。完成したそれを見返すと、アナタに隠された心理がそこに映し出されているかもしれません。
ちょっと気分が落ち込んでいる時は『赤』を見つめてやる気をアップさせるのも良いですね。リラックスしたい時は『青』を見つめるのも良いでしょう。しかしそれだけだとなんかあっけなく感じるもの。実際の生活でも、青を見ればいいからといって青色の折り紙を見ただけではなんか物足りないと感じてしまうのが人間です。そこに情動的な感動をひとさじ追加してみましょう。例えば散歩中に緑を見るなどです。秘境に至るまでの苦労が多いほど、そこに至った絶景にたいする感動はひとしおでございます。まあエベレスト登山しようなんて無茶振りはしませんが、例えばちょっとした旅をしてみて、旅先の景色に思いを馳せるなんてことも良いですね。私は日光市民ですが、いろは坂を登りきった後の中禅寺湖や華厳の滝は大きな感動が待ち受けていると思います。みなさんの近くにも、もしかしたらそういった『ほんのり感動スポット』が潜んでいるかもしれませんよ?
世界に満ちている色は光の数だけ存在します。まあ『可視光線』の範囲内ですが。せっかく人間はこんな素晴らしい機能を得られたのですから神様に感謝しといて、その機能を自分の心の感動のためにたっぷり使ってあげないとソンじゃないですか? アナタの人生にささいな清涼飲料水として色の心理学が生かされることを祈っております。
PS:虹って感動するよね!
実は意外と可視光線の範囲は狭い。赤外線や紫外線まで感知できるようになったらどんな世界が広がっているのでしょう?
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