アリスティアを祝福した妖精
水の妖精
エインセルカ
リーパー(男の子)
ヴァーテル
火の妖精
サラマンド(男の子)
土の妖精
ラントゥ
ジュリアを祝福した妖精、どちらも火の妖精↓
フュール
フェイア
「__ほう?複数の妖精の祝福を受けたってのはガセじゃないらしいな」
リーダーが笑う。
「だがなぁ、妖精ってのは心の澄んだ奴にしかつかないワケじゃあないんだぜ?__この国においてはなぁ!」
リーダーの前にも土の妖精だろうか?茶色く大きな人型が現れる。
「俺らみたいな澱んだ空気を纏ったヤツが好みって妖精もいるんだ」
そんな台詞と同時に大きな土人形が土中から姿を現し、リーダーの傍らに立つ。
私はそれを見て足元の土を氷で固めるが、エインセルカが『任せて』と言うと同時に足元の薄い氷が一メートル程の台座になった。
「ほほう?即座に足元から土人形が出てくる可能性を危惧したか、やるじゃないかお嬢ちゃん」
リーダーは笑うがそこから動かない。
土人形や妖精が向かっても来ない。
(なんだか、変だ)
『アイツ、ヘンだ』リーパーが言い、
『ヘンだね』サラマンドが同意し、
『う〜ん……あの妖精、アイツが動かしてるんじゃない、かも?』エインセルカが言う。
(動かしてんのがヤツじゃない?てことは祝福を受けてるヤツが近くにいる?てことは__)
「時間稼ぎ……?」
(ジュリアが護衛を呼んだように、援軍を待ってる?)
ばっと振り返ると五、六人のシルエットがこちらに向かって来るのが見える。
(あれはジュリアが呼んだ護衛?それとも__)
「妖精さん達!!」
お友達になった妖精たちに確認してもらうと、
『こわ〜い』
『わるいカオしてる』
『気持ちわるいの増えた〜』
__悪い方か。
チラリとジュリアの方へ目をやると既にジュリアを祝福した妖精が現出している。
ジュリアの妖精は二人とも火属性だ。
「ラントゥ!ヴァーテル!後ろをお願い、奴らをジュリアに近付けないでっ!」
叫んで向き直ると同時にズン、と圧がかかるのを感じる。
「……っ!」
(この視線の主が、本物のリーダー?!どこ?!)
”遠見“を発動させて見回すが、見つける前に相手が動いた。
いや、正しくは飛んできた。
文字通り空を切ってリーダー(偽)が吹っ飛んで来たのだ。
それはアリスティアの頭上を越え、背後から迫ってきていた奴等の目の前に落ちた。
そのお陰で後ろの連中も足を止めたようだ。
(なんで?狙いが外れた??)
それにしても何て力なのか、怪力の妖精でも(いるか知らんけど)付いてるのか、まるで何かに投げ飛ばされかのように__
(ん?投げ飛ばされた??)
リーダー(偽)が吹っ飛んで来た方に目をやると既に勝敗は決していた。
全員が地に呻きながら伏し、土人形は土に帰り、土の妖精が首根っこを捕まえられていた。
(えー…と?妖精って首根っこ捕まえられるんだっけ……?)
「あの人、誰か知ってる?」
周りの妖精に尋ねると、
『知らない〜』
『けど、なんかコワい』
「悪い人なの?」
尤も、妖精の善悪の解釈は人と違うので百パーセント信用は出来ないが。
『悪くは、ない』
『けど、強すぎ?』
『加護、いらない』
(つまり強いけど悪人ではなさそう、と)
おそるおそる近づくと、妖精の首根っこを捕まえてる人は随分若かった。
いや、若いだけでなく細身なのに見えないパワーの迸る青年だった。
透き通るような金髪に透き通るような白い肌をしているのに、儚さは微塵もない。
どちらかといえば小柄であるのに、金色に光る瞳の鋭さがそれらをかき消して有り余る迫力と説得力がある。
「あの、助けていただいてありがとうございます」
「あぁ、コイツらが捕まえようとしてたのあんたか。ケガはないか?」
「はい、妖精たちも助けてくれたので__」
「それが原因でもあるから気をつけろよ。っと!」
会話してる最中に手にした妖精が抜け出そうとしたのを掴みなおすと、
「逃げようなんて思うなよ?今までどんだけお前が悪事に協力してきたか知らないが、証拠固めの役にすら立たないなら消すからな?」
『ひぃぃ……』
首根っこを掴まれた妖精がダラダラと汗を流している。
(……人間でも妖精でも逮捕された時の反応って似たようなもんなんだなぁ……でも)
「あの、妖精って消せるんですか?」
「ん?あぁ、妖精っていってもピンキリだからな、妖精王クラスならともかくコイツ程度の三下で悪さしてるようなのはそれなりのパワーぶつけりゃ消滅させられる。タチの悪い虫がちょっと魔法覚えたみたいなもんだからな」
「虫……」
『ひど〜い』
『虫じゃないもん!』
「お前らのことだとは言ってないし悪ささえしなきゃ何もしねぇよ、コイツみたいにされたくなきゃ悪さするなよ?」
『しないし!』
『ていうか、こんなこと普通できないし!』
『妖精の首根っこ掴むとか非常識!』
「非常識な存在のお前らが言うな」
そう憎まれ口(?)を叩きながらも妖精達は彼に懐いているようで、顔の周りを飛び周り、青年もそれを払い除ける様子はない。
(悪い人ではないみたい)
「あの、妖精が原因でもあるってどういう?」
「あぁ、あんたん家だろ?昨日凄い数の妖精が集まってた家って。妖精の祝福持ちの若い娘ってのは狙われやすいんだ。利用価値も商品価値もあるからな、昨日町の警護官詰所にも注意がまわってきてた」
「!」
「町に住んでるのに知らないってことはあんた他国から来たのか?」
「はい、一ヶ月前に引っ越してきたばかりなんです。妖精を見たのも昨日が初めてで__」
「なら知らなくても無理ないか、あんまり人前で見せて回らないよう気をつけろよ?__お迎えが来たみたいだな」
アリスティアの背後に目をやった青年が言うと同時に、
「アリスッ!」
ジュリアがはっしと私に抱きついてきた。
「大丈夫?何もされてない?」
「大丈夫よ、ジュリアこそ__」
「平気よ!すぐうちの護衛が来て取り押さえたわ__それで__こちらは?」
「えぇと、町の警護官の、」
そういえばまだ名前を尋いていなかったことを思い出して、
「あの、私アリスティア・メイデンと言います。貴方は?」
「カイルだ。正確には町の警護官じゃなくフリーの傭兵みたいなことをやっている」
「え?」
「このちっちゃいの達が『助けて』っていきなりここに引っ張ってこられたんだ」
「あー……」
『一番強そうなひと探したの!』
『みつけて連れてきたの!えらい?」
「あ、ありがとう」
(でも、それってフリーランスの傭兵を依頼ナシに引っ張ってきちゃったってことじゃ……)
「あの、カイルさん!助けていただきありがとうございました!改めてお礼をしたいのですがどこへ行けば貴方に会えますか?」
「別にいい、今はこの町の警護と連携もしてるからな。転がってる雑魚も追っ付け町の警護官が回収に来るだろう、あんた達は早く家の中に入れ」
「あ、はい」
「行きましょうアリス」
「うん……」
4〜5話辺りで彼に出てきてもらう予定が何故かこんなに遅くなりました……いつもの事ですけどね!
さて、作者のメンタルがそろそろ限界です、書き続けられるかどうかは読者様にかかっておりますよ〜( ̄▽ ̄;)?
読み終わったら、ポイントを付けましょう!