ゲームから離脱したヒロインは異国の地にて完全撤退を目論む

詩海猫
詩海猫

プロローグ

公開日時: 2021年8月28日(土) 00:02
更新日時: 2021年9月4日(土) 03:03
文字数:1,831

他サイトさんで完結した「ヒロインはゲームの開始を回避したい」の別ルートっぽい内容になっています。こちら単体でお読みいただいても問題ないですが、気になる方は覗いてみて下さい。

現在手を負傷中につき、こちら含め更新は遅いです。ドキュメントファイルに色々な書きかけがとっちらかってます。痛みに呻くかポチポチ片手で書くかしか出来ないのにここまでボロボロだと書くにかけない状態だったんですが、生きる意味を見失いそうだったのでとりあえず書き始めてみました。他サイトさんに載せるかどうかも決めてません、載せるかもしれないし突然消すかもしれません、現在病み思考なので(~_~;)














「どうやら自分は乙女ゲームのヒロインに転生したらしい」

そう勘付いたのは父親であるメイデン男爵に引き取られた時。

若くして儚くなってしまった母は、どうやら男爵の愛人の一人だったらしい。

愛人の一人__つまり、愛人は一人ではなかったらしいのだ、引き取られた家には腹違いの姉と妹がいた。

つまり、愛人は三人いて、亡くなった正妻との間には子供は出来なかったらしい。


ついでに父であるジャック・メイデンは情のない色情狂ではなく、それぞれわけありであり、ついでに民にも使用人にも良き主であり、娘に甘い父親だった。

そんな家で九歳から育った私は、男爵家のお嬢様として何不自由なく暮らしてきた。

ストーリー通り十四になったら魔法学園に入学したが、そこはゲームよりも階級制度に厳しく、上級貴族でない自分にもその洗礼は当然の如く降りかかった。

攻略対象のフォローもあるにはあったけど、元々特権階級の頂点にいる彼等のやり方はあまり根本の解決にはなっていなかった。


前世ではそれなりに憧れたキャラもいたけれど、学園での彼等とお近付きになって攻略しようとか、それ以前にお友達にもなれなそうというか?

__けれどやはりイベントは起こった。

「ゲームの強制力ってホントにあるんだ……」

これは__不味いかもしれない。

私がそんな気ゼロでも、勝手にイベントが起こり、ストーリーが決められた方向に向かうとしたら___

私は将来、彼等のうち誰かと結婚しなきゃいけないってこと?

現状、好いてないんですけど。


私は国を出る決心をした。

乙女ゲームの舞台となるのはこの学園、ひいてはこの国なわけだから__要は、この国、出て行っちゃえばいいんじゃね?と。


そこからの私は早かった。

地図を広げ、情報を集め、この国の干渉の効かない国を探した。

この計画を学園で知り合って親友になったジュリアにだけは話したら、

「一緒に行くわ」

と言い出したので、

「でも、ジュリアは侯爵令嬢なのに」

と止めたのだが聞かず、結局二人で来ることになった。






そしてやってきたのはフェアリア王国。

国土の広さはそこそこだが、手付かずの自然が多く残されていて、王政ではあるがそこまで締め付けが厳しくはない。

この国の王立アカデミーに私とジュリアは編入した。


最初は寮に入ろうとしたのだが、寮の貴人用の部屋は埋まっているそうで、今は下級貴族から平民用の寮しか空きがないと言われたのでジュリアと二人で学園近くに小さな一軒家を借りて、ガードを兼ねた男性の使用人二人とメイドさん二人(心配した両家の親が折半で手配した)との六人暮らしとなった。

小さな一軒家といっても前世でいう中型ペンションくらいの規模なので六人でも広々だ。私とジュリアはベッドルームが続き間になった二部屋分の個室をそれぞれ使うことになった。


「大体片付いたわね。アリス、お茶にしましょう!」

「は〜い」

ジュリアの声に答えて階下へ降りて行くと、庭に面したサンルームには既にお茶のセットがされていた。

「どうぞお嬢様」

「ありがとうマリー」

椅子を引いてくれるマリーは現地採用のメイドさんだ。

最初は全員実家から連れてくるつもりでいたが「現地にも詳しい人がいた方が良いだろう」ということで使用人のハーネスさん(二十)とマリー(十八)は現地採用(バーネット家の取引先の紹介らしい)、ボルトさん(三十五)はバーネット家、レナ(三十五)は我がメイデン家から連れてきた形になる。

寄せ集めだが、皆すぐに打ち解けてここ数日ですっかり仲良くなっている。


「いよいよ明日は初登校ね」

「うん、見学だけとはいえ明日周った感じで選択科目全部決めるって難しくないかな?」

「まぁ、時期外れの編入だし仕方ないわよ」

私達が留学を試みたのは一年の夏期休暇に入るのと同時だったが、色々な準備や根回しがあってこちらに来れたのは秋になってからだったのだ。

確かに中途半端なことこの上ない。


「___でも、楽しみ」

私は選択科目一覧の紙を手に微笑んだ。

「まぁ確かにね。こんなの、あちらにはなかったし__」

同じ紙に目を落としてジュリアも呟く。

「ジュリアも絶対とるよね?」

「そうね、興味はあるわ」

ジュリアからすれば、アリス親友が楽しそうなのが一番なのだが。


二人の母国であるレジェンディアや他国になくこの王国にだけある科目『妖精学』。

この国の王家の紋章は妖精を模ったもの。

手付かずの自然が多いのは妖精の住処を奪わないため。


そう、この国には妖精がいる。

比喩でなく、妖精と共存しているのだ、その名の通りに。


載せるのがなんでこっちかって言ったら留学したらもう〝レジュール・レジェンディア王国譚〟じゃないからです。

作者のテンション保持の為にもブクマよろしくお願いします。アクセス解析機能とかないので読まれてるのかマジでわかりません( ̄▽ ̄;)

また明日。

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