多くの命住む青き惑星、地球。
そこにはまだ、人類の知りえない未知の領域が存在している。
「ふむ、ここが……」
そんな惑星の謎を追うものは数知れない。この初老の男もその一人であった。
男は険しい断崖の間を、ロープをつたい下降してゆく。
そして深く深くに潜っていたその場所で。
「これはいったい……」
男は、『何か』を見つけだした――
第一話
ヒーロー誕生!
護衛獣シールドン
登場
「へぇ、それがお父さんからのプレゼントってわけ?」
「おう。なんか不思議だろ?」
地球、日本。 夏の強い日差しが照り付ける公園にて、一組の男女が会話をかわしていた。
青年の手に握られているのは真紅の宝石がはめ込まれた黄金の腕輪。幾何学的な模様が彫られているそれは、どこか神秘的な雰囲気を放っていた。
「ねぇ、着けてみたら?」
「バカ言うな、ぶかぶかだって」
「そりゃそっか。うん?」
そんな二人の会話は、突如として遮られることとなる。
「あっ!」
幼い少女の手を離れ、空へと舞い上がる黄色い風船。それがその理由だった。
しばらくしたのち、風船は背の高い木に引っかかってしまっていた。
「あちゃー。ついてないね」
その光景を見て、ポニーテールの少女がつぶやいた。
幼い少女は名残惜しそうに木を見つめたまま立ち尽くしている。
「……カグヤ」
「どしたの?」
「これ持ってて」
「えっ、ちょっ、アサヒ!?」
「すぐ戻るって!」
カグヤ――そう呼ばれた少女に腕輪を手渡し、青年――アサヒは駆けた。
「いよっ!」
彼は木にしがみつき、するすると駆け登る。
「よっしゃ!」
そして風船をその手に掴むと、
「ほっ!」
一気に飛び降り、幼い少女の前に着地。
「ほら、もう離すなよ」
そして笑顔を見せ、それを手渡した。
「ありがとう!」
ぱぁっ、と、少女の表情が明るさを取り戻す。
「おう!」
嬉しそうに駆け出す少女を見送りながら、彼は手を振っていた。
「ほんとあんた、昔っから無茶するよね。」
そんな彼の後ろから、あきれた様子で声をかけるカグヤ。
「だってさ、ほっとけないだろ?それに第一、お前に言われたくねぇ」
その言葉に軽口で返すアサヒ。しかし。
「ほー。何ですって?もっぺん言ってみなさいよ」
「い、いや冗談だよ。怒るなって」
彼女の逆鱗に触れたらしく、睨みつけられてしまっていた。
アサヒは逃げるように再び走り出す。
「こらー!待ちなさい!」
それを追うカグヤ。
これが、彼らにとっての日常だった。
しかしこの時、彼らはまだ気づいてはいなかった。
この日、そんな日常が終わりを告げるということに――
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