万能筋肉にお任せあれっ!

竹杉快大
竹杉快大

プロローグ

0話

公開日時: 2022年4月17日(日) 21:51
文字数:1,064



「………また、失敗か…」

男は崩壊していく世界を、ただ見ている。

(これで何回目だい?)

頭に直接声が響く。

「…さあな。俺にとっては一回目さ。」

(私は君をズ〜っと待っているんだがねぇ…)

「いつか、そのときは来る。それまで待て。」

(はいはい。ま、期待しないで待っているよ。)

男はそれに応えず立ち上がる。

………世界が崩壊していく。光に、呑まれていく。

男はそれを見て悔しさに拳を握りしめることはない。男には両腕がないからだ。

…光が増していく。男はそれに飲み込まれながら、呟いた。

「教えてくれ、ーーーーーよ。俺はどこで間違えた?」

そして男は光に呑まれ………






ムキムキ!! ムキムキ!! ムキッ!!

目覚まし時計を止め、寝ながら腹筋していた体を止める。

「ふむ、朝か。」

そして俺は腹筋を続ける。別に異常ではない。この世界ではそれが普通なのだから。

「待ちに待った今日という日がやってきた!」

そう、今日は、

「旅に出るぞー!」

旅立ちの日だ!

「荷物確認!プロテインよし!プロテインよし!プロテイン………よし!」

準備万た…忘れていた。

「オッケー上腕二頭筋?今日の調子は?」

(へっ、右腕左腕ともにバッチリだぜ!)

「大胸筋は?」

[昨日から〜下の腹筋が〜、鍛えてもらった!!、ってうるさいんだけど〜。ねえ早く腕立て伏せもしてよ〜]

「ははっ、順番だよ。」

そう言うと大胸筋が不満げにピクピクと動く。可愛い奴め。

「腹筋もだめじゃないか。」

『いや、ちっ、違うんですよ!僕がやめておけっていうのに上の段が勝手に……』

【おいおい、三段目お前だって股関節周りの筋肉にアピールしてたじゃねーか】

〈そうですね、自分たちだけは違う……などという態度……二段目として見過ごせません!!

何より!私の周りにはかわいい子がいないんです!許せません!〉

「はいはいみんな落ち着いて」

口を開けば喧嘩ばかりの筋肉たち。

だがそれでもなお、愛おしい。

「ほら、今日は少し遠出するぞ。準備はいいか?」

(もっちろんだぜ!!)

[まあ、ついていってあげるわ。]

【〈『いつまでもあなたの腹に…』〉】


まっ、返事なんて決まっているか。

「じゃあ行くぞ。マッスルコンパス!!」

その瞬間、人差し指の第二関節から、ビキィィ!という鳴ってはいけない音が響いた。

「あれ?おかしいな…」

人差し指は何故か真下を指している。

「もう一度…マッスルコンパス!」

今度は正常に作動した。

「目的地は……あっちか。」

そして俺はうさぎ跳びを始めた。

「行こう!!!」

([【〈『おう!』〉】])

このときの俺は知らなかった。

この旅が、やがて世界を巻き込むことを……

初めて投稿します。竹杉快大といいます。

「たけすぎかいた」と読みます。

これから読む人が少しづつ増えてくれると嬉しいです。

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