「だからー、僕は元々この世界の人間じゃないって言ったんですよ」
「お前、マジで言ってんのか?」
イザークは目を思いっきり見開いて驚いている。
当惑していると言った方が良いかも知れない。
「大マジです」
「この世界にそんな存在がいたなんて誰が信じられるよ……」
「本当ですよ。神様にも会いましたし」
「創造神ソリスに会ったのかッ!?」
イザークは西方の出身だと聞いていたが、そこで祀っているのも同じ神様なのかな?とレヴィンは疑問を感じる。
「いや、名前までは聞いてないんですけど、色々話はしましたね」
「どんな話をしたんだ?」
「転生するのに、種族と職業と身分をどうするか聞かれました」
あの説明不足で言葉足らずの神様の顔が頭に浮かぶ。
「転生? じゃあ異世界から生まれ変わってこちらの世界に来たという事か?」
「その通りです。ですから向こうにいた時の記憶もありますよ。ちなみに向こうでは二十四歳でした」
「……それでか。どうしてもお前が十二歳に見えなかった訳は」
「え? 見えませんか?」
「子供にしては何事にも動じないし、達観している面があると思っていた」
「そうなのか……気をつけないと……」
流石に目立つのは避けたいレヴィンである。
「それで前から疑問だったんだが、無職って何だ?」
「無職は僕の固有職業ですね。僕だけがなれる最強の職業です」
「固有職業なんてものがあるのか……」
「多分ですけど、僕の他にもいるみたいですよ。異世界人」
「そうか……お前の黒髪も異世界人に関係しているのか?」
「そこまでは知りませんけど、黒髪って珍しいんですか?」
「多分そうなんじゃねーかな。少なくとも西方では見た事はなかったぜ?」
もしかして転生者は皆、黒髪なのかなと考える。
劇場で出会った、ローサも黒髪である。
黒髪には特に警戒しようと心に決めるレヴィンなのであった。
「ちなみにどの職業にでもなれるのか?」
「そこら辺は皆さんと同じかと。条件を満たさないとなれる職業は増えていきませんね。それに他の固有職業には、なれないでしょうね。あったらですけど」
「ふーん。じゃあレヴィンは職業についてかなり詳しいんだな?」
「そうですね。一般人よりは詳しいかと思います」
お前の言う一般人ってどんなヤツだよと思いながらイザークは尋ねる。
「じゃあ、死霊術士って職業はあるか?」
「えーと、どうだっけな」
(ヘルプ君起動。職業一覧)
「あーありますね。解放条件は暗黒騎士Lv5、召喚士Lv5、錬金術師Lv5です」
「そこまで解るのか……。能力は解るか?」
何故か突然神妙な顔になるイザーク。
「『喚び戻す』と、『アン「喚び戻す」って何をだッ!?」
喰い気味に話すが、表情は真剣そのものだ。
「死者の魂を喚び戻せるそうです」
「そうか……喚び戻すか……」
気のせいか顔が喜色に染まっているように見える。
しばらくして我に返ったのか、少し慌てて謝り出した。
「あッ! 俺ばかり聞きすぎてすまなかったな。俺の事もよかったら答えるぜ?」
そう言われても急に質問が浮かばない。
「えーと、そうだな。んー。そうですね」
「俺に興味はないのか、お前は」
イザークは悲しそうに突っ込む
「レヴィンの事ばかり聞いちまったからな。俺の事を話すよ」
「僕の言う事を信じるんですか?」
「あ? 信じるさ。お前には何か不思議なものを感じる」
こんな与太話のようなものを信じてくれると言うのだ。
レヴィンは嬉しさを隠せなかった。
そんな彼とは関係なしに語り出すイザーク。
「俺とイーリスはシルボウス王国の出身だ。イーリスは王族、俺はそれに仕える貴族だ」
「そんな大層な身分でどうして冒険者なんかに?」
「王国で動乱が起こってな。俺達は追われるように、国を脱出したって訳だ。それで生きていくためには冒険者ってな」
「なるほど。何か目的はあるんですか?」
「いや、特にないな」
あるとすれば、死霊術士に関する事なんだろうなとレヴィンは予想する。
その後も、浮かばない疑問を何とか絞り出しながらレヴィンの旅路は続く。
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