時間は十時十分前。
(えっと会議室Bだったな)
会議室を確認してノックをすると、中からどうぞと声がしたので、ゆっくり扉を開けて中に入る。
中には大きな円卓が置いてあり、既に席には五人が座っていた。
中心に座っていたのはずんぐりむっくりした体型にぽっちゃりした顔の立派な衣装を着た人物だった。
おそらくこの人が商人だろうと当たりをつける。
すると、じっとこちらを見つめる視線に気が付いて、視線の方向へ顔を向けると若い男性と目があった。
慌てて頭をペコリと下げる、こちらはEランクだし、まだ十二歳の若造である。
失礼のないように気をつけておいた。第一印象は大事である。
中央のずんぐりむっくりと他の三人は視線をあらぬところに向けていた。
四日間、仲間になる者が入ってきたというのに興味がないのだろうか?
視線があった男性は金色の髪を短く刈った戦士のような風体をしている。
意志の強そうな瞳が印象的だ。ずんぐりむっくりの右隣りに座っている。
その男性の右側には軽装備に見える茶髪の男性がいる。
ナックルをはめているので修道僧かも知れない。
さらにその右側は金髪でボブカットの女性だ。
白いローブを着て杖を円卓に立てかけている。
最後の一人も女性だった。こちらは髪が黒い意外、特徴がない人だった。
何かの金属でできたベストを着ている。
よしこの人の二つ隣りに座ろう。下座の方がいいだろう。ランク低いし。
しばらく待っていると五人の冒険者とギルド職員が入ってきた。
五人はずんぐりむっくりの左隣に腰を下ろした。
どうやら十時になったようである。
ギルド職員が話を切り出した。
「皆さんお揃いになりましたね。では打ち合わせを始めたいと思います」
周囲をぐるっと見渡して言葉を続ける。
「ご依頼はこちらのハモンド氏とその下男二名、荷馬車五台の護衛になります。区間は王都からカルマの町までの約四日間で報酬は一人、大銀貨五枚となっております。それではハモンドさんよろしくお願いします」
紹介された男性は立ち上がると簡単な挨拶を行った。
予想通り、ずんぐりむっくりが商人本人のようだ。
「ただ今紹介に預かりましたハモンドと言います。カルマまでの護衛をよろしくお願い致します」
思ったより腰が低い。商人はもっと横柄な感じかと思っていた(偏見)
「では護衛の皆さん、自己紹介をお願いします」
ギルド職員が先を促す。
すると、ハモンドさんの右側に座っていた男性が立ち上がり話し始めた。
「私はランクCパーティ『明けの明星』のリーダーのテオドールと言う。職業は騎士、ランクはCだ。私の右側三人がパーティメンバーだ」
彼は三人の方に手をやると頷いた。
それを合図として三人がそれぞれ自己紹介をしてゆく。
「俺はギース、職業は修道僧でランクはC」
「私はコニカ、職業は白魔導士でランクはCです」
「私はジェニー、職業は盗賊でランクはCです」
この順番だと次は俺かな?と思い、四人が座ると同時に立ち上がる。
少し緊張する。
「ぼ、僕はレ、レヴィンです。職業は黒魔導士をしています。ランクはEです。よろしくお願い致します」
普通に噛んだ。恥ずかしい。慌てて座ると、ハモンドさんの左隣りの人物が立ちあがる。
「俺はランクCのパーティ『丘の向こう側』のリーダーで、神官をやっているチャーリーだ。ランクはD。隣は仲間の黒魔導士、ラッドでランクはD、その隣は戦士のファバル、ランクはD。以上だ」
なんだそのスピードの向こう側みたいな名前は。
残りの二人は男女一人ずつであった。パーティだろうか? チャーリーが座ると男の方が座ったまま話始める。
「俺はイザーク、暗殺者だ。ランクはB、んで、こっちはイーリス、魔法剣士でランクはBだ。回復魔法も使える」
レヴィンは軽く驚いた。たかだか護衛任務にランクBとは。
なんとなく余裕のある態度を醸し出している。男性の方は赤髪をしておりチャラそうだ。女性の方はおとなしめというか無表情である。銀髪でポニーテールにしている。二人とも軽装備でスピード重視と言う感じの装備だ。
しかし、自分だけランクEかと思うと少し悲しくなってきた。
なんだかこの面子を見ていると過剰戦力のような気がしないでもない。
魔法剣士か。ヘルプ君で確認しておこう。
(ん。魔法剣士は回復魔法なんて使えないぞ? これは職業変更済みか?)
「それでは、私はこれにて退室します。後はよろしくお願い致します」
ギルド職員はそういうとそそくさとこの場を立ち去った。
退室するのを見届けると、テオドールがフォーメーションについての話題を振ってくる。
「フォーメーションはどうしましょう? ランクBのお二方は何かありますか?」
すると、イザークは手をひらひらさせて答える。
「いーよいーよ。適当に決めちゃって」
その態度に若干呆けたテオドールであったが、すぐに気を取り直すとそれでは、と提案を始める。
「ランクBのお二人は先頭。その後ろを荷馬車五台が通ります。中軍に『丘の向こう側』の三人とレヴィンさん。最後尾を我々が警戒するという感じでいかがでしょう?」
テオドールはぐるっと周囲を見渡して反応を見ている。
しばらくたったが誰からも反論は出ない。
「それではそう言う方向でお願いします。出発は十三時でしたね。その時間にハモンドさんの荷馬車のところに集合という事で」
彼がそう締めくくると、全員が同時に席を立った。
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