マクシミリアンからアジト周辺の地理を聞いていた事もあり、思ったよりスムースにアジトに到着した。
「いやーガタゴトガタゴトうるさかったですねー」
思いっきり伸びをしながらレヴィンは深呼吸を繰り返す。
野盗のアジトって言うくらいだから、洞窟にあるもんだと思っていたけど、こんなどっしり居を構えているとは驚きである。
いや、すぐそこに洞窟もあるんだけど。
ハーヴェスト連峰の裾野に広がる森の中に大きなログハウスのような建物がいきなり現れるのだ。しかも二軒。
ある日森の中、ログハウスに出会うのである。
熊さんに出会うよりもびっくりするのは間違いない。
ログハウスの周囲は少し開けた、と言うか切り開いた後になっており、そこに強奪された荷馬車が停められていた。
小麦は家の中に運ばれていたため、積み直さなければならない。
荷馬車に乗っていた御者達がせっせと運び出している。
ログハウスに入ると、意外と快適な造りになっており、過ごし易そうであった。
マクシミリアンから聞いていた通り、地下室には金銀財宝と言ったお宝が眠っていた。
ひゃっはー。やっぱ盗賊と言えばお宝だぜッ!とテンションあげあげのレヴィンである。
「いやーこんなに分捕れるなんて生きてて良かったーーーーーーーーー!!」
「いや、これエクス公国に没収されるんじゃねーの?」
一気に現実に引き戻しにかかるイザーク。
「後生ですからッ! 後生ですからお金だけはッ!」
「まぁマクシミリアンも国から聴取されるだろうし、普通に考えて無理――」
「うおおおおおおおおお」
現実から逃げだしたレヴィンである。
そんな事はお構いなしにイザークが続ける。
「洞窟にもお宝があるって言ってたな。積みきれるか?」
「あ、ちょうど良いところに時空防護が……」
「お前、時空防護も使えるのかよ……」
ジト目が突き刺さる。視線が痛い。
「まぁ積みきれなかったら入れる必要があるな。このまま置いといても他の盗賊に盗られるかも知れんし」
そうなのだ。一般人ならいざ知らず、同業者ならもう『南斗旅団』の壊滅は知られていてもおかしくはない。
一同は、お宝を積載した帰りも襲撃を受けるかもと心配しているはいるが、それ以上にあの旅団を壊滅させたヤツ等とは関わりたくないはずだと思っている。
積み込み作業の間、暇なので家の中をあちこち見て回る。
小麦の他にも食糧が大量に保管してあった。
また、高そうな調度品が普通に置かれている。
どれだけ優雅な暮らしをしていたかが推測できる。
地下室内のお宝はあらかた確認し終わったので今度は洞窟の方へ行ってみる事にした。
ログハウスの裏にある洞窟は自然にできたような造りになっていた。
夏だが、ひんやりとしている。
ひかりごけが苔むしており、ほんのり明るい。もしかしたら人工的に移植したのかも知れない。
人間が掘削して作ったような小部屋を次々と覗いて、めぼしいものを探していく。
しかし、特に高価そうな物は見当たらない。
そのうち、洞窟の最奥まできたようだ。
ある一画には剣が傘入れのような筒にセール品のように挿されている。
(こういう時に鑑定士の能力を取っておけば……と思うんだよな)
武器の良し悪しはよく解らないが、何か第六感に訴える物を何本か頂戴しておいた。
その他も何かピンときた物を頂いておく。
中には魔石が山盛りに盛られた箱もあった。
色々なランクの魔石があるようで、一個一個確認していく。
その時、最奥の部屋の入り口からイザークが入ってきた。
「なんかもう荷馬車に乗らないみたいだから、洞窟内の物は時空防護にしまってくれねーか?」
了承して、どんどん武器や魔石などを放り込んでいく。
その時、ふと手にした魔石に違和感を覚えてじっと観察してみた。
いったい何だったろうか?と考えていると、以前、属性について説明を受けた事を思いだした。
この魔石の色はその時、教えてもらえなかった物だ。
掘り出し物の予感がして、もらっておくリストに追加する。
あっと言う間に、お宝を全て時空防護にぶち込んだレヴィンであった。
こうして一行は『南斗旅団』のアジトを後にした。
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