俺は地上へと降りたー。
リリスの力で浮いていた挙句、デーモンを一人で瞬殺ー。
魔王ルシファーとの因縁ー。
今ここで起きたことを見ていた全員。
相良副組長、陽斗、柚木、白石、清影。……と、少し離れた所に誰にも気付かれないように扇組長がいた。
組長と陽斗以外の皆はポカ~ンと口を開けたまま俺を見ている。
陽斗は“ヤバい”という感情が全面に出ていた。バツが悪いのか視線を下に向けて大量の汗をかいている。
無理もない。。ここからどう言い訳が出来るのか教えてもらいたいぐらいだ。。
……さぁ!
どーする??
俺!!
「…悪いけどここまでよ光!」
「……!!」
フワッ……!!
リリスが自身の結界を解いて出てきたー。
やっぱり。
皆にしっかり“視えてる”ー。
視線がリリスに向いているからだ。
突っ込みたいことが多すぎて誰も口を開かない。
いや、皆どこから聞けばいいのか迷っているといった表情だ。
それを察したリリスが話し始めるー。
「どうも初めまして♪…でいいかしら?」
「「「「………。」」」」
「絵に描いたように固まってるわね。。まぁいいわ。見られてしまったものはしょうがない!」
「お前が言うなよ。」
「これから全て話すわ!いいわね?…私達は・・・・」
そこからリリスは全てを話したーー。
リリスがルシファーに婚約破棄&追放された事ー。
俺に転生した事ー。
二人でルシファーを倒そうとしている事ー。
そして・・
俺がルシファーの息子だという事ーー。
全てを聞いた皆は驚きを隠せずにいた。
そりゃそうだよな。。
起こったことが突然すぎるし、話している内容がまるでファンタジーだ。
俺も初めてデーモンの事を聞かされた時はそりゃ全然信じられなかっ……
「「「「分かった!」」」」
「なにぃぃぃぃぃぃ~~~~~~⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉」
俺は皆の反応が想定の斜め上過ぎて、自分でもこんな表情でこんな声が出るんだと新発見をしてしまった。
「フフフッ。物分かりが良くて助かるわ♪」
「―――!!!」
俺は何か直感が働いたー。
「リリス!お前“何か”しただろ?」
「え~?何のこと~?リリス全然わからな~い!」
体をクネクネさせぶりっ子で答えるリリス。
「なっ…⁉…お前が婚約破棄されたのその性格の悪さじゃ……」
「ああ????」
俺の言葉を威圧で遮ったリリス。
きっとこれ言っちゃいけないやつだ。。俺は思った。
「あのねぇ。これはあなたの為でもあるの!今ここでごちゃごちゃ話し合って解決出来るものじゃないわ。
だからせめてすんなり理解してくれる様にちょこっと私の魔道を使ったの♪幻覚系の。」
「……。」
「やぁ~ね~。陽斗には使ってないわ。」
「そこじゃねぇよ。もういいよ。」
「キレイごとだけじゃ物魔界にすら辿り着けないわよ光。早くあの野郎と女共を殺す…!!」
えげつない殺気を放つリリス。
「女癖悪かったのかアイツ。」
「私を消してからは毎日若い女をとっかえひっかえして遊んでいたに違いないわ!」
「何でそんな奴と結婚しようとしてたんだよお前も。」
「……仕方ないでしょ。“一族の為よ”。。それに、私の前では普通を装っていたわ。だから最初は気付かなかったの。」
リリスの予想外の言葉に俺も一瞬戸惑ったー。
「一族の為ってどういう事だよ?」
「人間界でいう契約結婚みたいなものね。お互いに利益を求めただけの結婚よ。」
「向こうは何のメリットがあるんだ?。」
「私達の一族は物魔界でもトップクラスの魔力と魔道を持っているの。“力”が絶対の物魔界では強さこそが全て。
ルシファーの一族は代々私のように魔力が高い魔族と結婚してきたわ。物魔界では何万年も前からそれは変わらない。」
「他にも魔力強い奴なんていくらでもいるだろ?物魔界の事は何も知らないけどよ。」
「まぁいる事はいるわ。でも言ったでしょ…向こうは力が全てなの。どの魔族も隙あらば魔王の座を狙っている。
縄張り争いなんてものは日常。そんな中でしたい人と結婚なんて無理なのよ。強ければ強いほどね。」
「なんか物魔界も大変なんだな…」
「弱ければやられるだけ。でも誰も何も言わないからそういう面ではしたい人と結婚出来るわね。
強い魔族ほど自分以外の事を考えないといけない。持った力をどう使うかー。力が強いからといって全員が戦いたいわけじゃない。
物魔界にも当然いい奴と悪い奴がいるわ。だから争いが起こるんだけどね。私は一族の為と思って奴との結婚を決めた。
私達の一族には未来永劫手を出さないようにする事を条件に。向こうは熾烈な縄張り争いにいつでも対応出来るよう必要なときに魔力提供をする事を条件に。そういう契約結婚よ。」
まさかリリスにそんな事情があったなんてー。
俺は本当に何も知らないー。
いや、自分の事しか考えていなかったー。
「リリス…。」
「何?まさか同情とかしてるんじゃないでしょうね?やめてよ気持ち悪い。」
「いや、俺は本当に自分の事しか考えていなかったなって…。」
「私も私の事しか考えてないわよ。“ルシファーを殺す”というただその一択。。まって…今まで私の“抹殺リスト”にルシファーしか載っていなかったけど今日のでカス二匹追加しておかなくちゃ♪」
フフフと笑いながら何かを想像しているリリス。
「おいおい。あの女達はたくさんいるルシファーの遊び相手の一部だろ?」
「ええそうよ。だから何?」
「だから別に放っとけばいいだろ。別に強くもないんだろ?」
「ゴミ同然。一度も戦ったことのない子供よあんなものは。」
「だったら別に…」
「ダメよ!」
「…!」
「何故ならこの私に盾突いてきたわ…!!あの若いだけのアバズレ女共はしっかり私の“敵”としてみるわ!」
「やっぱ根に持ってるのか。さっきの。」
「当たり前でしょ!!誰が“オバさん”ですって!!?私まだ2800歳よ!どう見たって同じ2000歳代でしょあの小娘達!」
「お前2800歳なのか⁉それって人間でいうと何歳なんだ?」
「だいたい人間の年齢の百倍ね。」
「へぇ~。って事は28歳。まぁまぁだな。」
「殺すわよアンタも。」
「冗談通じねぇのかお前。しかも俺死んだらお前どうなるの?つか一生このまま?」
素朴な疑問が出てきた。
「どうかしらね?私も転生初めてだから。でも、私の一族にそっち系に詳しい人いるからもしかしたら私も戻れるかもね。」
「へー!そうなのか!そりゃ良いなぁ!。」
「何が良いいのよ?」
「い、いや!…別に!お前も自分の体がいいだろ?しかもルシファーと戦うなんて絶対お前自分の体の方が良くないか?」
「まぁ出来ることならね。でも可能性は低いわ。そんな話聞いたことないから。」
「そっか。まぁ出来たらラッキーぐらいに思っておくかしょうがない。」
「光。アンタ急に私と距離置こうとしていない?」
「…!!ま、まさか!生まれてからずっと一緒じゃねぇかよ!兄弟!」
「…………。」
リリスは疑うような目で俺を見てきた。
適当に笑って誤魔化す俺。
そりゃそうだろ。
あんなおっかねぇもん見た後じゃ夜も寝れない!
でもこれは口に出来ない。絶対黙っていなければ…。
もし冗談でもバレたらきっとリリスの“抹殺リスト”に俺の名前が加わるだろう。。。
そんな事を考えていたら寒気がしてきた。
「まぁとりあえず……ルシファーが言っていたことが本当なら…」
「ええそうね。まだこれからもデーモンが襲ってくるわ。」
「ここにいたら皆巻き込んじまうよ。」
「光も早く力を使えるようにならないとマズイわね。まさかルシファーがこんな手で来るとは。。」
早く強くならねぇと。
俺がいるだけで皆に迷惑かけちまう。。
リリスもまさかそんな過去があったとはな…。
結局全部アイツなんだよなやっぱ。
どれだけデーモン来ようが全部俺が相手してやろうじゃねぇか…!!
これ以上誰も傷つかせない。
ルシファー倒して全部終わりにしてやる!
そうすれば陽斗達にみたいにあんな怖い話思いしてまでデーモンハンターになる理由が無くなる。
そうだ…
そもそもデーモンハンターなんていらないんだから、俺がこの世界を変えてやる……!!
ーードロンッ!!!
「…そうですね♪そうしたらもうこの世界に“デーモンハンター”なんていらないですから!
もうこの際廃止にしましょうか♪!」
「……アゼル⁉⁉」
またどこからともなくアゼルが現れたー。
ルシファー滅亡まで・・・・・9。
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