女が俺を媒体にルシファーと話している。
「今度はなんだ…誰だお前?」
俺の体に憑依している女に話しかける―。
「―私は物魔界の超ご令嬢『リリス』。ルシファー同様この日を待ちわびた…!あんたの覚醒で私も完全に解放されたわ!…光。私が貴方に“魔力の使い方”を教えてあげますわ!」
不思議な感覚だ。。
憑依なんて初めてされた。…なのにまるで違和感がねぇ…。つか、初めてだから元々感覚なんて分からないけど。
ジジイとルシファーみたいな憑りつかれるようなのが憑依だと思っていたのに。。
まるで別…
この女と俺が生まれた時からずっと一緒にいるような感じだ…
って……そんなこたぁ今どうでもいい!!とにかく―。
なんかコイツ味方っぽいから…
「なんでもいい!頼む!」
「いくわよ光!」
体から溢れ出ていた黒炎が刀に集まり黒炎の刃となったー。
戸惑いつつも、俺は自然とその刀を振った。
「ウラァァ!!!」
ブワンッッッ!!!
俺はその刀でゲートを切り裂く。
「……なにぃぃぃ!!…ぬぁぁぁぁぁぁぁ…!?!?!!?」
ルシファーの叫びと共にゲートとルシファーが消え去ったー。
「ハァ…ハァ……危なかったぁ…!!ジジイ!!」
ジジイは腹に穴が開いて血まみれだった。
「……き…光っ…ゴホッッ!…ゴホッ…!」
「無理して喋んな!ジジイ…あんた俺の事ずっと守っててくれたのかよ……なのに俺は…何にも知らないで……」
柄にもなく涙が溢れて止まらないー。
「お前は……俺の…息子だ……光…!」
フッ・・・・・・・・・・。
ジジイは最後に優しく微笑んだー。
「……ゔっ…………ゔっゔ…!……親父ッ……!!!」
「―泣いてることこ悪いんだけど…ちょっといいかしら?」
「―⁉…ぐッ……!」
そうだ…まだこの女(リリス)がいた……。
「改めて…私は物魔界の令嬢リリス。正確には“元”ね。
…私はさっきのルシファーと結婚する予定だった。
でもアイツが急に婚約破棄し、挙げ句私を物魔界から追放までしたわ!!
私を恐れたルシファーは私を完全に消し去ったと思っていたようだけど、
呪文を食らった際に私は最後の魔力を使い、何とか魔力の低い人間界の人間に転生した。。
それがあなただったの。“橘 光”!
私は“あなた”の存在を知っていたわ。ルシファーが人間界を手に入れる為に用意した最後の隠し玉ー。
人間界には私達悪霊を祓うデーモンハンターがいる。その存在がルシファーにとっては邪魔だったのよ。
普通の人間に憑依したとしても人間が弱すぎて体が持たない…
かと言って耐性のあるデーモンハンターに憑依しても本来のルシファーの力を出せず他のハンターにやられるだけ。
奴は人間界にいられる“器”が欲しかった。
昔人間界で少し羽目を外したルシファーと人間の女との間に出来た子があんたよ。
ルシファーにしてみれば狙ったわけでなく嬉しい誤算。自分の魔力を継いだ最高の器が生まれたの。」
ベラベラ語りだしたこの女が俺を見つめる。
だけど最早そんなことはどうでもいい。
「…………あっそ。……もう色々起こり過ぎて驚かねぇよ……疲れた……。」
お義父さんが死んだ。。
そのことに頭がボーッとしている。
動く気力もない。
やるせない虚無感だけが体に残っていたー。
意外だったーー。
何故かこの女もお義父さんの死体を悲しそうに見ている。
「……あなたに転生して私も“あなた”として…“橘 光”として生きてきたわ。私にとっても父だったー。
まさか私の人生で人間に転生する時がくるなんて思いもしなかったわ……
あなたの悲しみと私の悲しみは同じよ。。
ルシファーはあなたの体を器に、この人間界を自分の物にするつもりよ。
これからどうする?ルシファーの息子くん。」
「うるせぇ!!!ルシファーの息子なんて関係ねぇ!!
俺は・・・アイツを斬る!!
お義父さんに貰ったこの刀で…今度こそルシファーを斬り倒す!!」
「フフフ。利害が一致したわね!私もこんな目に遭わせたアイツを地獄へ叩き落したいの。
その為にあなたに転生した。あなたがまだコントロール出来ない魔力は私に任せて。
その代わり今までのようにあなたの体を私も借りるわ。光!私と一緒にルシファーを倒しましょう!」
「おう!!お前にも色々理由があるみてぇだが、要はアイツが気に食わねぇんだろ?」
「ええ!」
「じゃー決まりだ!リリス!一緒にクソルシファー倒すぞ!」
「当り前よ!」
俺とリリスは決意を決め、ルシファーを倒すべく協力する事にした。
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