葬式の翌日ーー。
ジジイの葬式も無事に終わった。。
あれから施設の皆は元気がない。会話もろくにしていない程。
当然陽斗もだ。。
みんなお義父さんがいなくなってしまったんだから無理もねぇ。
あの時俺に力があれば…!!
そう悔やまずにはいられない。だが、もう前に進むしかねぇんだ。。ジジイの仇の為にも、ルシファーの企みを阻む為にも、俺が強くなって奴を倒す…!!
「……光。」
「どうした?」
陽斗が俺に話しかけてきた。
「お義父さん…どんな感じだった…最後…。」
「それは…。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
<……そうそう光クン!言い忘れていました!>
<なんだよ。>
俺は昨日、アゼルに最後こう言われていたー。
<今回、施設の他の子供達やデーモンハンターに関係のない一般の関係者達には、彼の死は急死。“心不全”と伝えている。。君もそれに合わせて下さい。…いいね?これ以上被害を出さない為にも。>
<ああ。分かった。>
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ジジイが急に倒れて俺が救急車を呼んだが助からず、そのまま亡くなった事になってる。
陽斗も本当のことを知らない。。
「…俺も急な事でバタバタしたからな…。最後は全然会話なんて出来なかったけど…。
きっと皆のこと心配してたなあの顔は。。」
「……そっか。お義父さんの最後に、光だけでも側にいて良かったよ。一人だったらいくらお義父さんでも寂しいもんね。」
「陽斗……。」
………グッ…!!
自然と拳を握っていたー。
自分への悔しさや言えない本当の事。
本当は陽斗に真実を打ち明けたいー。血は繋がっていなくとも本当の兄弟。嘘を付くのは気が引ける。。
でも、こんな話信じてもらえないだろうし…陽斗が理解してくれたとしても、そうなったら今度は陽斗にまで
危険が及ぶかもしれない……。
弟を巻き込めねぇ……。同い年だけど一応“兄”だからな。
ブォォォォォォォォォォォォォォォンッッ!!!!!!!!!!
キキキッッッーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!
「…ッ!?!?」
「…なッ!!!」
今の場の空気とは全く合わない黒光りした長い長い車体の車が俺達のすぐ横に止まったー。
「ハローー!!光クン♪」
「……お前…アゼル…!なんでこんなとこに…!」
パワーウィンドウから顔を出してきたのはアゼル。
「あなたは…」
「君は初めましてですね♪どうも!“橘 陽斗”クン!私はあなた方のお義父さんの古くからの友人!
アゼル・アバドンです!以後よろしく♪」
「アゼル……やっぱり。あなたもしかして聖霊専門高等学校の理事長ですよね!」
「…なに!?!?お前…理事長!?…つか、陽斗なんでその学校知ってんだ!?」
「何言ってんの光(笑。春から“僕が行く学校”じゃないか。」
「はぁぁぁあ???」
そういやどっかで聞いたことのある響きだなぁ~と思っていたけど、学校の名前なんてどこも似てるし
何より、全く進学に興味のない俺は学校名なんてちゃんと覚えてねぇ…!
だとしてもアゼルが理事長ぉ!?
確かに昨日……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
<…君にはデーモンハンターになるべく我が学校。“聖霊専門高等学校”へ入学してもらいます♪>
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それって陽斗の行く学校だったのかよ…!!
いやいや待て…!陽斗の行く学校って有名校じゃなかったっけ??
“普通”の学校じゃないのか…??
俺はてっきりデーモンハンター専用の学校でもあんのかと思っていたけど……
俺がごちゃごちゃと考えているとアゼルがそれに感づき、
「何をそんなに驚いているんだい光クン!僕は正真正銘、聖霊専門高等学校の理事長ですよ♪
昨日言ったでしょう。我が校に入学してもらうって!」
「いやだからよ…!それって普通の学校なのか!?」
「光!入学って…!君も学校に行くの!?しかも同じところに!」
アゼルの話に陽斗と俺は驚いているが、驚いているポイントは全く違う。
そう。陽斗よ。。
俺が驚いているのはそこじゃねぇ!!…と言いたいところだが話がややこしくなるからやめておこう!
「おかしな質問をしますね光クンは。。我が聖霊専門高等学校は至って“普通の学校”ですよ!反社と関りがあるとでも思っているんですか~?失礼ですね~全く。」
俺がそんなつもりで聞いていない事を分かってからかっていやがる…。
「それはともかく。…話を戻しますよ♪昨日も今も言いましたが、とにかく君はウチに入学♪陽斗クンと仲良く登校して下さい♪」
「凄いよ光!いつそんな話になってたの!」
「あ。…いや…俺も昨日言われたばっかでよ…ハハハッ…。」
「兄弟揃って良かったですね陽斗クン!光クンのことは君達のお義父さんから後を任されていますからね!
今回は特別待遇ということです♪勉強出来ない彼と違って陽斗クン。君は正々堂々一般入試で入ってきたようですね!素晴らしい♪君のような優秀な逸材は我が校にとっても宝です!お義父さんもさぞ喜んでくれているでしょう♪」
「そうだといいんですけど…。」
アゼルの野郎さらっと俺だけバカにしやがって。嫌味マンマンだな。
「さ~~~~~~~て♪積もる話も済みましたし!早く行きましょうか!!」
「は?行くってどこ……うわッッ!?!?」
ドンッ!ドンッ!
俺と陽斗は強引に車の中へ突き飛ばされた。
「…ってぇなッ!!どこ連れてく気だよ!」
「さっきから言ってるでしょう。。兄弟揃って仲良く登校して下さいって!今がその登校初日です!ハイ♪」
「はあぁ~~~~~~~~~~~~っ!?!?!?!?」
こうして俺達は拉致された。
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