隠しドアを見つけたワズルの五人の隊員達は暗い二十段ほどの金属の階段を慎重に降りてきて、緩くカーブした通路を進んでいる。突き当たりのドアに到達する。
「開けられるか」
「吹っ飛ばせば」
「やれ」
細長い体格の隊員が背嚢から何か取り出してドアに設置する。装置から伸びたコードの先のスイッチを押すと爆音と共にドアがひしゃげる。カーブした通路の奥にいた隊員達にも爆風が届く。ヘルメットに付けたライトが点滅する。
ドアの隙間を広げて銃を構えて中に入ると訓練通りに展開する。ライトの光の筋がかなり奥まで延びている。
突然室内がぼんやりと明るくなる。
「敵が⁉️」「罠だ!」「くそ!」
銃をあちこちに向け索敵する。
「落ち着け!訓練通りだ!」
その場で構える。前に三人、後ろを二人が守る。
少しずつ進む。
「クリア」
照明が徐々に明るさを増していく。円形の部屋の形が隅々まではっきり分かる。誰も居ない。
「広いな」
「ええ。コルベットの半分くらいありますね」
黒ずくめのワズルの隊員達は警戒を解くことなく部屋の真ん中に向かう。
部屋の真ん中にあるものには、上の階にあったようにケーブルがいくつも繋がっている。切断されていたりしないままで。台座の上も本来の姿でいる。この部屋で破壊されているのはワズルが吹き飛ばしたドアだけだった。
「直ちに殿下に報告だ」
王蟲の目の殻をカプセル状に加工した透明なケースの中に一人の少女が入っていた。
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