「センタードームが食い破られたぞ‼️」
「北側へ急ぐんだ」
「撃て撃てっ!少しでも時間を稼げ!」
逃げ遅れていた南の壁際のエリアの住民をトルメキア兵が必死に誘導していた。一日中日陰の貧困層地区だった。南門を守っていた戦車たちがひっくり返され燃えている。城壁を食い破ったり登って侵入してきた王蟲もいる。町に入った王蟲どもは全てセンタードームを目指していた。
コルベット二機が城壁の外の王蟲に機銃で威嚇していた。
「もう撃ち殺しちゃいましょうよ!」
「ばか言え。そんなことしたらもっと多くの蟲を呼ぶ事になるぞ」
「でも、このままだと同胞が 」
「照明弾をありったけ撃て!」
夕方の砂漠に白い火の玉がいくつも炸裂する。
二匹目の王蟲がセンタードームに到達した。
「王宮が崩れる!」
ドーム東側にある王族たちの宮殿が、倒れた尖塔の直撃を受けた。
「うわあああ 」
宮殿近くの大通りを走っている、多くの避難民を乗せたトラックの隊列に土埃や瓦礫が迫ってくる。王蟲の前進も止まらない。
「追い付かれるぞ!」
一台の戦車が脇から飛び出して王蟲に向かって突進していく。
「馬鹿な!」
戦車の乗員の事をトラックの荷台に詰め込まれた人々が思った。
「無駄だよ 」
トラックのアクセルがさらに踏み込まれた。北門を目指した。
「そんな 」
北門へとつながる道が、倒れた尖塔の瓦礫で塞がれていた。
戦車が目の前の王蟲に砲弾を打ち込もうとしていた。
センタードームの尖塔の一つが光る。尖塔の頂部に小さな魔方陣が現れる。それが瞬時に拡大しペジテの町を覆う。魔方陣が速やかに地上へ降下する。町中あらゆる場所が光につつまれる。全ての蟲たちの動きが止まる。王蟲の攻撃色が消えた。
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