ゆんゆん・ザ・ウィザード・スーパースター

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公開日時: 2023年9月5日(火) 22:00
文字数:686

 ペジテ市侵攻十時間後。

「でかいぞ!」

 地下室が音をたてて震えた。出入口はずっと前に頑丈そうな隔壁が下りていた。

「ゆんゆんを囲め!」

 ゆんゆんは台座に寝かされていた。

「上で何が起きているんだ   

「ペジテからの攻撃を受けているんでしょうか?」

「町はもぬけの殻だったぞ」

「我々トルメキアを誘き寄せたうえで   

「自分たちの町を犠牲にしてか⁉️ペジテの奴らは何処に行くというんだ」

「既に受け入れ先が決まっているのでしょうね」

「まさか   

 先ほどよりも近い衝撃がきた。足元も揺れた。

《我が名はゆんゆん。アークウィザードにして、中級魔法を操る者。紅魔族の長となる者    

「む、ゆんゆん起きたか   ?」

「いえ。寝言でしょうか?」

 ゆんゆんは横になったままでいる。可愛らしい唇だけが小さく動いている。

「違う   。床を見ろ」

 真っ白な床には薄く細かい模様が刻まれている。彫られた溝の中に黄色い光が溜まる。部屋の形に沿っていくつかの円が現れた。その中に幾何学的な紋様が描かれる。文字らしき物もある。

「なんだ   

 丸い部屋の壁にも光の筋が走り出す。床の光が増して、一気に照射してくる。

「うおっ    

 床の紋様が空中に浮き上がってきた。ワズルの隊員達を照らしながら上昇していく。紋様は天井に展開すると黄金色に輝き、消えた。

「なんっ、なんだ   ?」

「ゆんゆんは?」

 薄目になったゆんゆんが口を小さくぱくぱくさせている。意識はない。

「脈が弱いです!」

 瞳孔反応を見ていた隊員が言った。

「くそっ   

 隊長が心臓マッサージに入ろうとゆんゆんの胸に手をかざしたとき、カプセルの蓋が動き出した。

「え   

 そのまま、最初見たときのようにゆんゆんはケースに保護された。



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