「何処かにあるはずだ!急げ!」
トルメキア軍精鋭ワズルは焦っていた。
少女が裸で男達の前でびいびい泣いていた。
カプセルの透明ケースが開いて全裸の美しい少女が現れたとき、若き副隊長は考えた。
(この現場を殿下が知ったら‥‥‥)
危険度が低いと判断した隊員の一人が、カメラを少女に向かって構えだしている。
「おい!止めろ!」
思わず怒鳴っていた。シャッターが切られる寸前で隊員がファインダーから顔を離す。
少女が一瞬ピタと泣くのを止める。だが直ぐに、
「うええ ん」
と泣き続けた。
「隊長!この様子を殿下がご覧になったら 」
「何 」
と思った隊長は直ぐにはっとなる。そうだ、クシャナ殿下は女性が蔑ろに扱われる事に酷くお怒りになるのだ。殿下が初めて率いた部隊で北の町を占領したとき、町の女を乱暴していた兵を殴り飛ばして軍法会議にかけさせた。その兵逹は一生セラミック採掘場にいるという。そして、ペジテ侵攻においてもその規律は厳守されている。今までは 。
「まずい 。おい、どうする?」
隊長は狼狽えた。
「あれが覚醒したときのために用意してあると思います。これほどの技術力を持つ者逹ですから、そこら辺の事もきちんと考えていたでしょう。服とか」
「確かに!よし、全員衣服様な物を探索!急げ!」
「あったか?」
「ありませんねー」
「不味いですよ」
「くそ」
ぐるっとのっぺりとした壁しかない室内には、制御装置の類いばかりがあった。壁と扉が一体になっていて分かりにくいだけだと考え、ワズルの男逹は念入りに調べた。食料の備蓄を発見できた。かなりの量が蓄えられていた。しかし、衣服らしき物は見つけられなかった。
「おかしいですね」
「ああ。あれだけの備蓄や完璧な空調まで用意されているにしては 」
「まったくですね。ペジテの奴らファッションには関心無いってことすかね」
ひょろりと背の高い隊員が言った。
「まーあと探してないのはこのベンチくらいすね」
自分が腰かけている箱を指して言った。
「そこだ‼️」
全員がその隊員を指差した。
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