ゆんゆん・ザ・ウィザード・スーパースター

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公開日時: 2023年9月2日(土) 22:00
文字数:825

「何処かにあるはずだ!急げ!」

 トルメキア軍精鋭ワズルは焦っていた。

 少女が裸で男達の前でびいびい泣いていた。



 カプセルの透明ケースが開いて全裸の美しい少女が現れたとき、若き副隊長は考えた。

(この現場を殿下が知ったら‥‥‥)

 危険度が低いと判断した隊員の一人が、カメラを少女に向かって構えだしている。

「おい!止めろ!」

 思わず怒鳴っていた。シャッターが切られる寸前で隊員がファインダーから顔を離す。

 少女が一瞬ピタと泣くのを止める。だが直ぐに、

「うええ     ん」

と泣き続けた。

「隊長!この様子を殿下がご覧になったら   

「何    

と思った隊長は直ぐにはっとなる。そうだ、クシャナ殿下は女性が蔑ろに扱われる事に酷くお怒りになるのだ。殿下が初めて率いた部隊で北の町を占領したとき、町の女を乱暴していた兵を殴り飛ばして軍法会議にかけさせた。その兵逹は一生セラミック採掘場にいるという。そして、ペジテ侵攻においてもその規律は厳守されている。今までは    

「まずい   。おい、どうする?」

 隊長は狼狽えた。

「あれが覚醒したときのために用意してあると思います。これほどの技術力を持つ者逹ですから、そこら辺の事もきちんと考えていたでしょう。服とか」

「確かに!よし、全員衣服様な物を探索!急げ!」



「あったか?」

「ありませんねー」

「不味いですよ」

「くそ」

 ぐるっとのっぺりとした壁しかない室内には、制御装置の類いばかりがあった。壁と扉が一体になっていて分かりにくいだけだと考え、ワズルの男逹は念入りに調べた。食料の備蓄を発見できた。かなりの量が蓄えられていた。しかし、衣服らしき物は見つけられなかった。

「おかしいですね」

「ああ。あれだけの備蓄や完璧な空調まで用意されているにしては    」 

「まったくですね。ペジテの奴らファッションには関心無いってことすかね」

 ひょろりと背の高い隊員が言った。

「まーあと探してないのはこのベンチくらいすね」

 自分が腰かけている箱を指して言った。

「そこだ‼️」

 全員がその隊員を指差した。



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