「…昨日も言ったやろが」
「なんか言っとったっけ?」
「…あのなぁ。俺には俺のペースってもんがあるんや」
「ほーう??」
「来年になったら新入部員が入ってくるし、そしたら公式戦にも出れる」
「何を悠長なこと言うとんや」
「別に構わんやろ?それに、いくら強豪校に行こうが、甲子園に出れるとは限らん。大体、それが全てやないしな」
俺はただ、野球を楽しめればいいと思ってる。
高校生活を楽しめるのは今しかないし、部活に勉強と、切羽詰まってやるべきじゃないとも思う。
中学の時に色々経験した。
野球尽くしだったからな、あの頃は。
全国には行けなかったが、それでもベスト4だった。
毎日練習して、汗水垂らして。
“もう十分だ”って思えたんだ。
どうせ頑張っても、勉強が疎かになったんじゃ意味がない。
何事も“程よく”やるのがいいわけで…
「本気で言っとんかそれ」
「いや、そうやけど」
「…だっさ」
「だっさってなんやねん。腹立つな」
「ホントのことを言ったまでやが?」
「…はぁ?なんなん、昨日から。ほっといてくれん?」
「そういうわけにはいかんのや」
「なぜ…??」
「色々事情がある。てか、私も野球部に入るから」
「ハァ!?」
「なんやねん」
「なんやねん」、じゃない。
俺の話聞いてた?
ってか、なんだ…?
まじで言ってんのか?
「何驚いとんねん」
「…いや、驚くやろ。てか、無理無理無理」
「何が無理なん?」
「こっちは今楽しくやっとんや。お前が入ったら輪が乱れるやろが」
「…どう言う意味?」
「そのままの意味や」
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