家に帰ると、しかめっ面で睨んでくるおかんがいた。
どうやら、今日おつかいを頼まれていたらしい。
冷蔵庫を見ると空っぽだった。
朽ち果てかけたエノキと、人参しかない。
夏樹がご飯まだ?と催促してくる。
…いや、お前働けよ
せめて米くらいはだな
「どこほっつき歩いとったんや??」
「…あー、えっと」
一応伝言はしたんだが
うまく伝わってないみたいで何よりだ。
なあ、夏樹?
「なんすか」
「なんすかやないねん」
風呂も溜まってねーし、何してたんだよ今まで。
夏樹は相変わらずだ。
おかんもおかんで、何も変わっていないように見える。
だけど、どこか違和感はあった。
具体的にどこかって言われたらわからないが、なんとなく。
というか、いつの間にテレビ変えたんだ?
なんかおかしいなぁと思ったら、ちょっとでかくなってる。
どこにそんな金があるんだよ。
突っ込みたい衝動に駆られたが、ぎりぎり踏みとどまった。
また変人扱いされたら困るし。
家族には内緒にしておこうと思った。
「別の世界」から来たなんて、いくら息子とは言え信じてくれないだろう。
ドン引きされる未来が見える。
だから何も言わない方がいい。
…でも、アイツのことは一応聞いとこうかな?
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